概要
タイトル:枕と寝具の科学
著者 :久保田博南
五日市哲雄
意識はないけど人間にとって大切な時間の「睡眠」。
本書では、睡眠についてメカニズムの解説とともに、豊富な種類のある枕や布団などの寝具がそれぞれどんな違いがあるのかを教えてくれます。
人によってそれぞれ合った寝具はありますが、効能を知っておくうえで役立つ知識がたくさん紹介されています。
「爽快な朝の目覚め」はどうしたら得られるのでしょう。この課題に挑戦したのが、本書の最大の目的です。
(中略)
まず、第1章では、睡眠そのものの生理や「眠る原理」というような「眠りの本質」に迫ってみました。
第2章から第5章が本論ともいうべきところで、実際のより良い眠りのための寝具についての概説です。「枕、布団、ベッド、マットレス、寝間着」などに分け、それぞれ進化の過程や工夫などを通した理想像なども提供しています。
最終の第6章は、これrのまとめ的な要素も入れて、睡眠の環境について解説しています。睡眠そのものとの関連も含めていますので、第1章と重なる部分はありますが、こちらは実践的方法論という立場から説明しています。
したがって、本書のベースには常に「安眠への誘い」という基本目的が存在しています。これらの中から、読者ご自身の睡眠への興味が引き出せるなら、執筆者としての目標が達せられることになります。というよりぜひそうであってほしいと願っています。
(はじめに p1〜2)
構成
はじめに
第1章 人間はなぜ生涯の3分の1も眠って過ごすのか
第2章 人はなぜ枕を必要とするのか
第3章 快眠をよぶ布団へのこだわり
第4章 快眠をもたらすベッドとマットレス
第5章 寝間着も大事な睡眠の要素
第6章 良く眠る(熟眠)ための環境づくり
参考資料
ポイント
枕が必要なのは人間だけ
もちろんですが、枕を使う動物は人間だけです。
人間の体の構造上、背骨はS字カーブを描いており、後頭部の位置は背中より少し前にきています。
その結果、寝た時にも頭が前に出ようとします。枕を使うことで、頭の位置を調整し人間の自然な体の状態に近づけることができます。
枕は、古代から使われていて、寝る際に使ったか埋葬品かは定かではないですが、石枕なども使用されていた形跡が残っています。
枕えらび
枕には、素材・形状が違う様々なものがあります。
素材として、通気性・柔軟性を指標とした考え方をアドバイスしています。
通気性のいい枕は熱がこもりにくく、適度な柔らかさのものが当たりがいいなどそれぞれ特徴があります。
熱なども関係してくるので、季節によって素材を変えてみるべきなのかもしれません。
形状については、自分の体が自然な形(S字カーブ)を取れるものを選べるといいと思います。
それにしても、なんの変哲のない普通の枕から、良くみる「波型」意外にも「中くぼみ型」「穴あき型」「かまぼこ型」などいろいろな種類があります。
家具屋さんで、いろんな形の枕を探して、良く見てみるのも面白いかもしれません。
布団の体圧分散
布団の硬さ、柔らかさを考える時、体の重さが分散できるものが理想的です。
柔らかすぎると、腰や肩が沈み過ぎて負担がかかってしまいます。
硬すぎると、局部が圧迫されることによる血行障害などの危険性もあります。特に、自力で寝返りが打てない状態だと床ずれなどにもなってしまいます。
体の重さを分散させる工夫としては、硬さ、柔らかさの他にも布団の表面に凹凸形状を作ったり、ベットでのコイル(スプリング)のくみ方などを変えたりなどもしています。
快眠の環境づくり
快眠を得るための環境づくりについてもアドバイスしています。
・寝床の中の温度は32〜34℃、湿度は50%が理想
・低色温度(赤ぽい色)の方が、高色温度(青っぽい色)よりも睡眠導入には好ましい
(メラトニンの抑制が低い、150lx以下だと光に邪魔されない)
・目覚めには、徐々に明るくなっていく光が効果的
・寝る前の飲食は避ける
当たり前のようなことですが、ついつい忘れてしまったり、疎かになってしまうことが多いので、改めて意識しておきたいです。
最近は、光目覚ましもあるようなので使ってみるのも一つの手ですね。
感想
睡眠について、人間の体の仕組みから、枕、寝具の素材・構造について説明されています。
さらには、いつから枕は使われていたのか、日本のベッドの歴史など歴史についても語られている部分もあるので、生活から切り離せない睡眠について詳しくなれます。
近年は、ホテルのロビーで高さ、硬さの違う枕が選べるようになっていたりという話もあり、今度利用してみようかななども考えたりと読んで楽しめました。
枕や寝具選びの参考になると思います。
、新しく枕や寝具を新調したい方にとってもにおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。