概要
タイトル:温泉の科学
著者 :西川有
温泉を科学的な視点から成分や仕組みについて表や図を用いて分かりやすく解説しています。
各項目も2〜3ページにまとめられていて、温泉について初歩的なことから知れる内容となっています。
本書では、温泉を科学的におもしろくわかりやすくあらわしました。温泉水の発生、動き、熱源、温泉の成分・効用と健康、プレートテクトニクスとの関係、主要温泉の特徴などが主な内容になりますが、温泉に関する環境問題、温泉の歴史など、さらに社会生活と温泉のかかわりや温泉の健康への効用なども解説し、温泉の様々な特徴を通して温泉の全体像を知る基礎となります。
(はじめに p2)
構成
はじめに
第1章 温泉は好きですか?
第2章 温泉はどうして健康に良いといわれるのだろう?
第3章 多種多様な日本の温泉と世界の温泉
第4章 独特の温泉成分の違いはなぜ起こるのだろう?
第5章 有名温泉の特徴とその成り立ちとは?
第6章 温泉はどうやって見つけてくるのだろう
第7章 温泉をとりまく環境問題
ポイント
温泉の効果
温泉が健康に良いという根拠につて述べられています。
温泉の作用として「化学作用」「物理作用」「転地効果」をあげています。
化学効果:温泉に含まれる化学成分を取り入れる
物理効果:温熱作用・・・体が温まることによる血行、免疫新陳代謝への作用
浮遊効果・・・温泉の中で体が軽くなることによる負担の軽減
静水作用・・・マッサージ作用による血行への効果
転地効果:温泉地でリラックスすることによる効果
化学効果は、2、3週間入り続けると効果がでてくるようなものですが、物理効果・転地効果は、入ると得られるようなものなので、少し疲れたときにでも温泉に入ることも十分良いことだと教えてくれます。
疲れた心と体を癒しに温泉に行きたいと思わせてくれます。
火山タイプと地層タイプ
温泉が地下からやってくる経路は実はいまいち分かっていません。
その中で、温泉の起源として2種類があることがわかってきています。
火山タイプ:雨水が起源の地下の循環水にマグマからの水が混合して温泉となる
地層タイプ:海底の海水が閉じ込められて地表へ隆起した水が温められて温泉となる
温泉といったら地下水なので、雨水などが起源なのかと思っていたのですが、海水から来ているものもあるのは驚きです。
国内の有名温泉
国内の有名温泉について泉質や湧き出しの断面(イメージ)が描かれていて分かりやすく説明しています。
説明されていたのは
・登別温泉(北海道)
・箱根温泉(神奈川県)
行く前に読んでみるとより温泉を楽しめると思います。
温泉の湧き出し方とかはどこも同じような物なのかと思っていたので、断面付きで解説してるのはありがたいですね。
感想
温泉の初歩的な入門書といった感じです。
本書で紹介された有名温泉の近くに住んでいたりしたら、より面白いと思います。
他にも温泉に関わる環境問題や地域おこしについても話が及んでいて維持やブランドづくりの難しさも感じました。
今ある温泉にも感謝ですね。
温泉に興味ある方、よく温泉に行かれてちょっと知りたい方におすすめな一冊だと思います。
ご一読ありがとうございます。