概要
タイトル:歴代作曲家ギャラ比べ
著者:山根悟郎
西洋の作曲家のギャラについて作曲家の人生の解説も含めて語られています。
この本では、”クラシック音楽の父”とされるバッハから、20世紀にヨーロッパやアメリカで活躍したストラヴィンスキーまでの大作曲家41名を並べ、具体的に彼らがどれほどのお金をどうやって稼いだのか、明らかにしていきます。
(中略)
調査を進めてみれば、思いもかけぬほどたくさんの手段を用いて作曲家を生計を立てていました。また、意外な人物が大儲けをしていたり、逆に生活苦だったりしたこともわかりました。そして、作曲家の収入には、工業化の発展や著作権制度の発達とかかわりがあり、さらには本人の性格とも関係があり・・・・・・。調べれば調べるほどに、没頭していってしまいました。
(はじめに p002-004)
構成
はじめに
作曲家相関図
簡易年表
QRコードの使い方
第1章 バロック時代最後の巨匠
ドイツの音楽職人バッハ×イギリスの成功者ヘンデル
第2章 初期古典派の宮廷音楽家
ハンガリー貴族に仕えたハイドン×スペイン皇太子に仕えたボッケリーニ
第3章 ウィーン古典派の最盛期
気鋭のフリーランス作曲家モーツアルト×ウィーン楽団を上り詰めたサリエリ
第4章 古典派からロマン派へ
第5章 ロマン派の萌芽
貧しき薄命の歌曲王シューベルト×早期リタイアしたオペラ王ロッシーニ
第6章 ロマン派の礎を築いた音楽家
文筆業と二刀流シューマン×指揮者としても有能だったメンデルスゾーン
第7章 正規の2大天才ピアニスト
サロンでもてはやされたショパン×劇場のスーパースターリスト
第8章 オペラを完成させた2大巨頭
浪費家なドイツ楽劇王ワーグナー×篤志家のイタリア歌劇王ヴェルディ
第9章 成熟したロマン派の音楽
ドイツ音楽の継承者ブラームス×世界のワルツ王ヨハン・シュトラウス2世
第10章 フランスのロマン派
祖国の発展に尽くしたスメタナ×国際的名声を獲得したドヴォルザーク
第12章 ロシアの新しい息吹
寛大すぎるパトロンに支えられたチャイコフスキー×兼業作曲家集団ロシア5人組
第13章 北欧の国家と音楽家
安定を好んだノルウェーの傑仕グリーグ×フィンランド救国の借金王シベリウス
第14章 後期ロマン派の名指揮者
指揮で生計を立てたマーラー×指揮でも作曲でも成功したリヒャルト・シュトラウス
第15章 印象派、フランスの新しい響き
第16章 復興するイギリス音楽
イギリス楽壇の重鎮エルガー×インテリ民謡収集家ヴォーン・ウィリアムズ
第17章 近代ロシアのピアノ音楽
ロシア革命前に早逝したスクリャービン×アメリカに亡命して大成功ラフマニノフ
第18章 現代音楽への序章
民謡集めが曲作りの源泉バルトーク×新しい音楽論を追求したシェーンベルク
第19章 東と西の20世紀音楽
祖国に戻って地位を確立プロコフィエフ×若くして国外で大成功ストラヴィンスキー
コラム
感想
作曲家の収入とともにどんな仕事をしてきたか、当時どんな仕事が高収入だったか分かります。
高額な作曲料で依頼ていた一方で、著作権が確立されてなかった時代は、近隣の国で海賊版が出たりして一つの曲で稼ぎ続けるのは難しかったようです。
各時期の作曲家の年収とともに「収入」「贅沢度」「慈善度」「後世への影響」「親の経済力」「音楽一家度」などのパラメータがSS~Cで評価してあって面白いです。
例えばヴェルディだと
収入:SS
贅沢度:A
慈善度:A
後世への影響度:S
親の経済力:C
音楽一家度:C
といった具合です。
また、ベートーベンは音楽家としては別格で、単独で章が構成されています。
たくさんの音楽家について知ることが出来ますし、興味のある方は読んではいかだでしょうか。
ご一読ありがとうございます。
mcsya.org 本書のQRコードを読み込むと作曲家の音楽が聴けます。www.spotify.com