概要
タイトル:君たちはどう迷うか
これからキャリアを築くために必要なこと
著者 :酒井穣
私(著者)がA君からの悩み相談のような形でキャリアについて対話をしていきます。
A君が高校生から、大学生、就活を経て会社でおそらく中堅、ミドルクラスになるまでのそれぞれの区切りの時期で話が進んでいきます。
キャリアを語ることは、とても難しいです。そこには社会の内側と外側という「ニつの相容れない視点」が、必ず混在してしまうからです。
(中略)
ポイントは、将来に備えてこの社会の内側に生きるあなたも、「今」を直視しようと社会の外側にあるあなたも、どちらもかけがえのないあなた自身だということです。そして、この二つの視点に上下関係はありません。どちらか一方の価値にのみ寄り掛かれば、人間は不幸になるようにできています。
あなたという存在は、社会の内側でも社会の外側でも、それぞれに成長します。そして、この二つの視点は避けがたく相容れないからこそ、一方の成長が、もう一方の苦悩を生み出すことになるのです。
しっかり生きるということは、きっと苦しいことなのだと思います。そして、この苦しみの向こう側にこそ、人間の成長があるとすれば、この振り子を積極的に揺らそうとすることが、自らの人生を誠実に生きるということにはならないでしょうか。
本書をとおして、私は、この振り子について考えてみたいと思っています。
(はじめに p001-006)
構成
はじめに
序章 成功ってなんだろう?
第1章 初めて会社と向き合うとき
第2章 永遠の内定者
第3章 会社は民主主義じゃない
第4章 ビジネスを座学で学べるか
第5章 現実的に考えるとき
終章 生きるということ
おわりに
主な参考文献
ポイント
所有している金は自由への手段であるが、追い求める金は隷属への手段である(J・J・ルソー)
第1章の冒頭にこの格言が添えられています。
第1章では、進路に悩む学生のA君が著者へ相談するという内容です。
何があれば成功なのか、A君との会話の中で、お金にだけは悩まなようにしておきたいなど答えの出ない、悩みのるつぼに入っていきます。
対価としてお金を考えた時、冒頭のルソーの格言が一番しっくりきましたので残しておきます。
モチベーション
第5章、A君が仕事のモチベーションが下がり、転職を考えて相談をしに来た時のやり取りです。
モチベーションが下がっているA君に対し、モチベーションに左右されないコツについて、心身の管理とともに集中力を高めることが重要だと述べています。
集中力を高めるコツとして、
・目標に対して個人的にコミットし、周りに宣言する
・クリアしなければならない問題を整理する
をあげています。
特に、他者に宣言することで集中力は驚くほど高まります。
きついですが、自分を頑張らせる手として活用できると思います。
感想
A君のキャリアを進めていく中で、会話という形でその時々の課題について話しています。
自分の段階と合うような段階の話は、同じ悩みを持つ者同士として共感できます。
キャリアとして通り過ぎたところであれば「そういえばこうだったな」と振り返る面白さもあります。
これから来るであろう将来のことについては、こんなこともあるのかなと予習になるかもしれません。
キャリアについて考えたい方、方にとってもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。