概要
タイトル:AI・5G・IC業界大研究
著者:南龍太
今話題のAIや5G関連についての業界分析を行っています。
上記技術に必要なICの歴史についても絡めて基本的な技術内容、過去から未来への動向を伺うことができます。
2020年は日本を含む多くの国で次世代通信サービス「5G」が本格的に始まった。近年、活用の場が広がる「AI」(人工知能)の普及をさらに加速させる起爆剤として期待されている。
「IoT、AI、5Gの普及で加速するデータ会社。これを実現する半導体用途の広がりと技術革新への要求」(東京エレクトロン「中期経営計画」より抜粋)。半導体製造装置を手掛ける日本最大大手のこの短文に、本書執筆の動機付けと意義が凝縮されている。すなわち、AI、5Gについて、中盤はICについて、最後はそれらを支えるにはICをはじめとする半導体が欠かせない。
本書は8章で構成される。大まかに、前半はAI・5Gについて、最後はICについて、最後はそれらに関係の深い個別企業や海外情勢について、割り振っている。
(はじめに p3)
構成
はじめに
Chapter1 AI・5G産業の最新動向
Chapter2 AI・5G産業の基礎知識
Chapter3 AI・5G・IC市場
Chapter4 IC産業の最新動向
Chapter5 日系IC企業の動向
Chapter6 IC産業の基礎知識
Chapter7 AI・IC産業の主要企業
Chapter8 海外情勢
Chapter9 日経IC企業の動向
読むきっかけ
最新業界動向といって、さらっと見たらホントに2020年度までの最新動向が書いてあったので手に取って読みました。
感想
序盤はAI・5Gの仕組みや活用方法について解説されています。
グラフを使用して需要の伸びも分かりやすくなっていますので、就活など業界に興味のある方には読んでいただきたいです。
AIの技術レベルについて
・レベル1:単純制御
・レベル2:推論・探索/ルールベースAI
・レベル3:機械学習
・レベル4:ディープラーニング
の分類が良く理解できます。
AIの普及に伴う社会の進展も4段階に分けられ、「AIシステムが他のAIシステムと連携せずにインターネットなどを介して単独で機能」する第1段階から、「複数のAIシステム同士のネットワークが形成され、相互に連携」する第2段階、「AIネットワークが人間の体や脳と連携し、人間の潜在能力が拡張」する第3段階を経て、「人間とAIネットワークが共存」する第4段階へと進むとされる。
(Chapter2 AI・5G産業の基礎知識 p42)
中盤から終盤は、AI・5Gの需要に対して関わりのある半導体業界について解説しています。
技術的なところから日本の企業の合従連衡の歴史も説明されています。
業界動向も2020年まで追いかけているので、2019年の社名変更された「キオクシア」まで追いかけることができます。
最新動向を知りたい方は是非確認されると頭が整理できます。
お約束ですが、日本半導体業界の栄枯盛衰の流れは涙なしには読めません。
半導体製造自体は苦戦していますが、半導体製造装置等の関連業界は日本メーカーは強いようです。
富士通やパナソニックの撤退、東芝の再編と節目を迎えるたびに、再編は「一区切り」とか「最終局面」と見做されてきた。振り返れば、1990年代に「日の丸半導体」の復活を意気揚々と掲げてきたが、結局のところ決定打はなく、じり貧となってきた30年であった。
(Chapter5 日系IC企業の動向 p128)
最後には、半導体製造メーカーや関連メーカーについて個別解説が乗っていいるので、企業分析の役に立ちます。
業界動向が気になる方は必読だと思います。
ご一読ありがとうございます。