概要
タイトル:道は開ける
著者 :D・カーネギー
D・カーネギー「人を動かす」の姉妹本です。
「人を動かす」が人間関係に関する本であったのに対して、本書は個人に焦点を当てています。
個人が抱える「悩み」について、解消して人生を楽しむための方法を様々な人物の経験談を通して示しています。
この本は姉妹書『人を動かす』と一対になって書店に並べられているが、『人を動かす』は「人間関係」の機微について述べたものであり、本書はあらゆる人間に共通する「悩み」の実態とそれの克服法を述べたものである。
(中略)
たいていの人は「悩み」を克服したいと思いながら、これにひきずり回され、エネルギーを消耗し、思考力を失い、ついには人生に対して絶望感を抱くに至る。「悩み」とはまことにおそろしいものである。人間が物質的に貧しかったときには、悩みは物質に向けられその解決はまだ比較的簡単であった。しかし経済的に人間が充たされたとき、いよいよ人間本来の悩みが、大きくクローズアップされてきたように感じる。現代がまさにその時代ではないだろうか。
(中略)
古来、人間は「悩み」や「業」のために長年苦しめられ、人生の、とくに若い年代のエネルギーをむだに費やしてきた。この悩みを止め、そのエネルギーを人間本来の「幸福」な生活を始めるために使うことの絶好の伴侶として、本書は今後とも読みつがれていくことを信じて疑わない。
(はじめに p1-3)
構成
まえがき
PART1 悩みに関する基本事項
PART2 悩みを分析する基礎技術
PART3 悩みの習慣を早期に断とう
PART4 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法
PART5 悩みを完全に克服する方法
PART6 批判を気にしない方法
PART7 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
PART8 私はいかにして悩みを克服したか
ポイント
悩みの分析と解消法
雑多な悩みに対する向き合い方として、4つの問いかけをすることが効果的だと示しています。
◉第一問 ー 私は何を悩んでいるか?
◉第二問 ー それに対して私は何ができるか?
◉第三問 ー 私はどういうことを実行しようとしているのか?
◉第四問 ー 私はそれをいつから実行しようとしているか?
まずは、自分の悩み、行動できることを明確にする。
そして、行動することが悩みの解決に大切です。
行動がなければ、せっかくの分析も空念仏になってしまいかえって有害となってしまいます。
よく悩むときは、第一問、第二問のところでぐるぐる回りこんでいるかと思います。
実行までするのは少ないかと思います。
思い切って、実行まで考えてやってみると意外と解決まで進めるかもしれません。
悩みの習慣への対策
定常的な悩みを抱えてしまう場合の対策については、悩んでしまう習慣がなくなるような方法を提案しています。
その中でも次の2つは面白かったです。
・忙しい状態でいる
→悩んでいる暇がない
・どこまでやるのか決めておく(ストップ・ロス理論)
→待ち合わせはいつまで待つか決めておく等
最近悩むことが多くなったなと思ったら、生活環境の変化でゆとりができてかえって悩む時間ができてしまったかもしれません。
悩みが増えたのではなく、ゆとりができた結果と考えると悩みよりも生活環境を変えるのが対策かなと思いました。
ストップ・ロス理論で、どこまでやるのかを決めるのはストレスは格段に下げてくれると思いました。
自分の許容でさっさと動いた方がずっと悩むことは少なくなるはずです。
感想
個人の「悩み」に対する向き合い方が述べられています。
分析・計画・行動するだけで漠然とした悩みがずっと解消される方向へ向かうことが分かります。
数多くの実話も踏まえて語られているので、自分と似た環境の話は特に参考になると思います。
悩みは誰しも持っているので、どんな方にもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。