こゆの読書と美術の備忘録

美術館・読書・その他気になったことも備忘録的に残しています

当ブログでは一部記事にアフィリエイト広告等を利用しています

【読書】僕はこうやって11回転職に成功した

概要

タイトル:僕はこうやって11回転職に成功した

著者  :山崎元

 経済評論家の山崎元さんが、これまで(当時)11回転職されてきた経験をもとに、転職について考えたことが書かれています。

 転職のバリエーションも単独、グーループ、新聞広告の応募、ヘッドハンター、勤務先の倒産と多様です。

 著者曰く、振り返ると成功あり、失敗ありの転職活動だったとので反面教師としても参考にしてほしいと述べています。

 各章の終わりには、著者の「転職心得帳」があり、その時々で感じた転職の考えたかや立ち回りについてアドバイスされています。

 本書全体で言いたいことをあらかじめ一言で言えば、「誰でも、もっと自由に働ける」ということに尽きる。仕事は、生活してゆくためにも大事だし、同時に仕事に使う時間は長い。仕事がつまらないと、人生を面白くすることは困難だ。そして、人生は面白くなければいけないと筆者は思っている。本書が、読者の人生を面白くするための戦略の立案に少しでもお役に立ば、著者としてこれに勝る喜びはない。

(まえがき 誰でも、もっと自由に働ける p2)

構成

まえがき 誰でも、もっと自由に働ける

第一章  三菱商事

     一番人気への就職から最初の転職に至るまで 

第ニ章  野村投信

     わがファンドマネージャー修行時代

第三章  住友生命

     どうにも合わない会社で考えたこと

第四章  住友信託銀行

     一番気に入っていた職場を離れた理由

第五章  シュローダー投信

     初めての外資系で見たもの

第六章  バーラ

     スキルを磨いてグループ転職へ

第七章  メリルリンチ証券

     外資らしい外資を満喫する

第八章  パリバ証券

     アメリカ型とヨーロッパ型の違いとは

第九章  山一證券

     久しぶりの日本の会社でついに倒産に遭遇  

第十章  DKA

     本業に戻って感じた満足と不満足

第十一章 明治生命

     若き窓際族は何を考えたか

第十二章 UFJ総研 その他

     マルチ勤務あるいはフリーの中間報告     

あとがき

ポイント

サラリーマンへのアドバイス

 著者が1社目の三菱商事に勤めていたときに以下のようなアドバイスを受けています。

 第一に、意見は大きい声でいう。そして、誰にでも同じことを言う。

 第二に、意見は会社のためを思って言う。本当に会社のためを思っていった意見ならば、仮に間違っていたとしても、後から必ず助かる。

 最後に、『こいつは、ちょっと可愛いな』と思わせる何かがあればなおいい。

 著者は、若い読者にもメモして読み返す価値があると述べています。

 本書では著者の転職と転職先での働きについて話が展開されていくのですが、働いている中でこの言葉に影響を受けて行動しているのだと感じます。

 第一、第二のアドバイスについては普段から仕事を頑張っていないとできないことであると思うので、そういった行動が取れるように研鑽を積んでいきたいものですね。

 最後は、第一、第二と少し反対な方向性な気もしますが、そういった一面があると組織の中で上手にやれていくのではないかと思いました。

 転職して新しい組織で働く際にも意識したいですね。

健康で真面目に働く気があれば、何とかなる

 転職の不安を感じた時、

健康で、まじめに働く気があれば、何とかなる

と何度かつぶやいてみたそうです。

 振り返ってみて、そこに嘘はなかったと述べています。

 転職はどうしても先が見えないので、不安に感じることは避けられないと思います。

 ある意味、「えいやっ」と思い切りも必要なのでこの考え方は参考になります。

 また、逆説的に捉えると「健康」と「まじめに働く」といった点を担保していくことが仕事をしていく上で重要だと感じました。

 健康を害してしまうような会社、まじめに働けないような会社、で働くことはその会社で働くこともリスクですし、転職といった次の手も打てなくなるような危険性があります。

 転職だけでなく、会社を選ぶ際に気にしておいた方がいい点ですね。

転職者のマネープラン

 転職活動での心得の一つとして、著者の専門分野である資産運用の視点からマネープランのアドバイスをされています。

 転職者のマネープランの前提条件とそれに対するアドバイス

①収入が不安定である

 →自分自身の稼ぐ能力も株式と同じように「資産」の一つとして考えておく

②年金の問題のこともあり、将来の備えが薄くなりがち

 →自分自身への投資とバランスをとりながら貯蓄も厚くしていくよう意識しておく

③勤続年数の関係から借金がしにくくなっている

 →勤続年数が短くなるとクレジットカードが作りにくくなるので欲しい人は早めに作っておく

 転職する際は、どうしても仕事以外にも生活上でも影響を受けてしまいます。

 将来のことはわからないですが、できる準備はしておきたいですね。

外資の効用

 さまざまな会社に勤めた経験を持つ著者ですが、外資系の会社で働き自分の労働を売り買いすることで、会社を自分の「所属先」から「取引先」として捉えるように感覚が変わってきたそうです。

 この感覚の変化は

・メンバーの不足は自分のニーズ

・甘えやわがままが出にくくなる

・相手に丁寧に接するのに苦がなくなる

といった意識の変化につながりました。

 心穏やかに働いて行くうえで、参考になる考かと思いますので印象に残りました。

 「お客さん」ではなくで「取引先」という表現も対等にきっちり関係性を気付けるような感じがして、いいなと感じました。

山一證券

 著者の転職歴の中で、山一證券があります。

 時期もちょうど倒産した時に居合わせており、その時の状況も語られています。

 自身の転職活動もそうですが、若手社員への転職へ関するアドバイスも行っていたそうです。

 会社が倒産した際の転職についても以下のように述べています。

・転職活動を早く始めた社員の方が有利であった

・何らかの技能を持った専門職の方が有利だった

 (ゼネラリスト型の中有間管理職は苦労したようだった)

・若い方が求人件数は圧倒的に多い

 通常の転職とも変わらないところではありますが、いざ倒産となった時、気持ちを切り替えて行動できるかと考えると恐ろしいものです。

転職で得たもの、失ったもの

 著者が転職で得たもの、失った(かも知れない)ものについて振り返っています。

「失ったのも(デメリット)」

・退職金・年金

・引越し費用

・会社との一体感、価値観の安定感、人間関係

・信用(飽きやすさや長続き長続きしないなど勘繰られる)

「得たもの(メリット)」

・会社と自分の距離感(会社を特別視しすぎない)

・人生計画について自分で考えるきっかけ

・多くの会社を内側から見ることができる

・自由

 

 人生を大きく変える決断となる転職ですので、著者の経験から得た転職のメリット、デメリットは参考になります。

 デメリットは確実に、メリットは自分で掴まないといけない点は、現実的は甘くないと感じてしまいますが、その上でのチャレンジだと思いました。

 感想

 11回という転職回数を経ている著者の体験記でもあります。

 転職方法もさまざまですが、転職した会社も国内・海外・親会社・子会社、会社のフェーズも立ち上げや倒産に立ち会っていたりと様々です。

 成功あり失敗ありと語っていますが、転職という劇薬を上手に使いこなしているのはすごいと思いいます。

 現在は、「半フリー」といった感じで様々な肩書きを持ちながら活躍されています。

 転職に興味のある方や山崎元さんを知っていてバックグランドなどを知りたい方にもおすすめな一冊です。