概要
タイトル:会社が教えてくれない「働き方」の授業
著者 :小倉一哉
労働問題を研究してきた著者が、働く人の抱える疑問や要望について述べています。
研究で明らかになっていることと供に、明らかになってなっていないことでも、自分の立場や考え方から思考展開できるようにしています。
本書が、おもに読者として想定しているのは、現在すでに会社や組織にお勤めの方々です。とくに、20代、30代くらいの若手から中堅層の人たちのことを念頭に置いて書きました。
(中略)
もちろん、これから社会に出る学生の方々や、すでにベテランとして働いている方々を除外するつもりはありません。
ベテランや管理職の立場から若手社員や部下をどうみるか、というようなことも本書では扱っています。また、これから社会に出る方々には、「会社で働くってこういうことなのか」と思ってもらえる、きっかけになることを期待しています。
(はじめに ー 会社が教えてくれない「働き方」とは? p8-9 )
構成
はじめに 会社が教えてくれない「働き方」とは?
第1章 会社に残る? 転職する?
ー 雇用について
第2章 どれだけ稼げば満足?
ー 給料について
第3章 残業は会社のせい? 自分のせい?
ー 労働時間について
第4章 成果主義でやる気になる?
ー 評価について
第5章 同僚はライバル? 協力者?
ー 人間関係について
第6章 「働く幸せ」はどこにある?
ー 働く意味について
おわりに 0でも1でもない思考
ポイント
手当を支払う4つの目的
手当を支払う目的は4つに分類されます。
①生活への配慮:家族手当、住宅手当
→家族構成の違いなど個々の社員の生活上の相違に配慮
②人事管理のため:単身赴任手当、通勤手当
→異動などを円滑に進める
③基本給を補完するため:役職手当、特殊勤務手当
→基本給が十分でない
④基本給を弾力化するため:残業手当、休日出勤手当
→仕事の量や質に応じて支給する
①、②が人に対して支払われるものに対して、③、④は仕事に対して支払われています。
近年、多くの手当てがなくなってきていますが、良い人材の確保と定着に役立つものを残していくのが大切です。
コンピテンシー評価
成果主義の重要要素として人事評価があります。
評価として、「コンピテンシー評価」があげられています。
「コンピテンシー評価」は、優れた業績を出し続ける人の行動から、その人の持っている要素を分解し、そうでない人に何が足りないのか、どのようにしたらよいのかということを評価する仕組みとしてスタートしました。
(第4章 成果主義でやる気になる? p144)
優れた業績を出している人を参考として、目標を設定してくのは現実的な活動だと感じます。
しかし、実態はそこを意識して、目標設定、フィードバックをしているのかは疑問です。
優れた業績を出している人の要素をきちんと伝えてもらっているかが鍵ですね。
目標設定の際には参考になる考え方になります。
身体の変調には要注意
生きていると体調の不調は必ずあります。
本書でも、うつなどの精神的な不調について述べられています。
意外に自分では気づかないケースも多く、内科へも行っても良くならない場合は、心療内科などの心の病を取り扱うところでみてもらうのも大切です。
再発のリスクも高く、回復にも周囲の理解が必要です。
周囲には、もちろん職場も含まれており、復職の際にも管理職が重要な役割を果たします。
一生懸命は働くのは良いことですが、一番大事なのは自身の健康なので本書でも一番大事なところです。
感想
雇用や評価制度など会社の制度など、会社で働くことについて述べられています。
特に評価制度などは、成果主義を求めている人は多いが、実用が上手くいっていない点など問題点についても焦点を当てていて興味深いです。
自分の組織の足りない点など、見えてくると立ち回りが見えてきて参考になります。
私は、コンピテンシー評価の導入意図は目から鱗で不勉強でした。
会社で働く前の方、しばらく働いてみて会社のことについて興味を持った方などにおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。