概要
タイトル:「やりがいのある仕事」という幻想
著者 :森博嗣
大学教授と小説・エッセイなどの作品を書き上げてきた著者が、仕事についての考えを述べています。
自分は、「いったい何を差し出して仕事をしているのか」といった仕事をしていく上での価値観に問いかけを与えてくれる内容になっています。
なんとなく、意味もわからず、「仕事にやりがいを見つける生き方は素晴らしい」という言葉を、多くの人たちが、理想や精神だと勘違いしている。それは、ほとんどどこかの企業のコマーシャルの文句にすぎない。そんな下らないものに取り憑かれていることに気づき、もっと崇高な精神を、自分に対して掲げてほしい。それは、「人間の価値はそんなことで決まるのではない」という、とても単純で常識的な原則である。
(あとがき p)
構成
まえがき
第1章 仕事への大いなる勘違い
第2章 自分に合った仕事はどこにある?
第3章 これからの仕事
第4章 仕事の悩みや不安に答える
第5章 人生と仕事の関係
あとがき
ポイント
やりがい
素晴らしい仕事とは、本来最初からコンスタントに作業を進め、余裕を持って終わらせるものです。
手応えのないもので、「やりがい」とは程遠いです。
「やりがい」とはいったいどういったものなのか。
自己鍛錬のプロセスの中に、「やりがい」があると述べています。
素晴らしい仕事が出来るようになるためには、失敗を通して知識や技術を蓄積したり、新しいものを取り入れたり勉強などが必要です。
模索しながらあれこれ考えて行動する。一筋縄ではいかない大変さが「やりがい」に通じています。
会社のやっていることが「やりがい」のあることだと言われても、それは不一致が出てしまうし、やりがいなんて見つからないと感じました。
将来のイメージ
仕事の目的は金銭を稼ぐことで、あとは細かい条件が自分に適しているかで選ぶしかないと述べています。
条件として考えることのアドバイスとして3つあげています。
・賃金と交換するために何を差し出すのか
→時間、労力などが自分の我慢の範囲内かどうか
・交換して得られる賃金が問題ないか
→異様に高い賃金だったりは疑った方が賢明
・将来をイメージする
→就職する場合、時間、場所など仕事が生活における支配的要因になりやすい
十年、二十年先をイメージして仕事を考えてみる
仕事をする時は、誰しも多少なりとも考えていることだと思います。
どれも事前に全て把握することは無理です。
しかしながら、思ったものとは違ったを少しでもなくすためには必要になります。
感想
仕事に対しての「やりがい」について考えさせてくれる本です。
会社や周囲が話す「やりがい」を自分の「やりがい」と勘違いしてしまうのは苦しいので、時には振り返って自分のことを考える時間を取りたくなりました。
仕事について考えてみたい方、やりがいについて考えたい方にとってもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。