こゆのときどき日記

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【読書】ゲームチェンジの世界史

概要

タイトル:ゲームチェンジの世界史

著者  :神野正史

 人類の歴史を変える「ゲームチェンジ」の契機となった制度・技術・情報について解説しています。

 ゲームチェンジによる栄枯盛衰、力関係の逆転劇は歴史の動きに興味のある方には必見です。

「太平の世(戦後70年の日本)」に生きる者は、他人と同じやり方で他人並みの努力をしていれば、他人並みの生活が保障されますが、「ゲームチェンジ(現代)」の中に生きる者が同じことをすれば、他人と同じように没落していくことになります。

 では、どうすればよいか。

 そのためのヒントはやはり歴史の中に隠されています。

 人類は過去、数々の「ゲームチェンジ」を経験してきました。

 では、これら「ゲームチェンジ」はどのようにして生まれ、展開したのか。

 そしてその渦中にあった当時の人々は、その”疾風怒濤”の荒波にどのようにして耐えたのか、亡びていったのか、はたまたむしろこの荒波を”ビッグウェーブ”と変えて波に乗り、我が世の春を謳歌したのか。

 それを歴史の中から拾い上げ、自身の人生で実践できた者だけが「ゲームチェンジ」後の新時代を生きる”資格”が与えられるのです。

(まえがき p4-5)

構成

まえがき

第1章  農業 ー人類が人間になったー 

第2章  鉄器 ー重視されたのは耐久性と実用性ー

第3章  一神教 ー王権強化が生んだ対立ー

第4章  神と冊子 ー人が作った記録媒体ー

第5章  キリスト教 民族宗教から世界宗教へ(1)ー

第6章  騎馬 ー速度が変えた戦略と戦術ー

第7章  仏教 民族宗教から世界宗教へ(2)ー

第8章  帝政 ー民衆の顔色を窺う支配者ー

第9章  活版印刷宗教改革 ー知の開放が招いた近世ー

第10章 中央集権体制 主権国家が生んだものー

第11章 産業革命 ー消費社会はここから始まったー

第12章 フランス革命 現代社会を築いた10年ー

第13章 総力戦 ー損得を無視する戦いへー

第14章 核兵器 ーテロとゲリラ戦の共通項ー

第15章 インターネット革命 ー国家を揺るがすSNS

第16章 アニメーション ー軍事力から文化力へー

あとがき

ポイント

ゲームチェンジの原則

 本書では、ゲームチェンジの原則を以下のように述べています。

①ひとたびゲームチェンジが起これば、二度と後戻りはできない。

②歴史の流れに逆らう者は、例外なく亡ぼされる。

覇権国家は、ゲームチェンジとゲームチェンジの間の安定期に現れる。

④ゲームチェンジ前の非常識は、ゲームチェンジ後の常識となる。

⑤ゲームチェンジに必要なものは、「発明」ではなく「実用化」「普及」。

⑥一度でも偉業が達せられると、それが”前例”となって、以降の歴史にゲームチェンジが起こることがある。

⑦知の開放はかならずゲームチェンジを誘発する。

⑧ゲームチェンジの契機となる時代の新しい波は、いつも辺彊から起こる。

⑨ゲームチェンジが起こると、それを理解できない者・受け入れられない者が一定数現れ、歴史の流れを押し戻そうとする。

⑩ゲームチェンジが起こる要因となるのは、「大事件」ではなく、「前例のないことがおきること」。

 本書で紹介されるゲームチェンジは、この原則に則っており、読み進めていく際に心に留めておくと腹落ちしやすくなります。

 私が気になったのは、ゲームチェンジによる歴史の流れは不可逆的な点です。

 古今東西、多少の揺り戻しはあっても一度変化したものは、完全に元に戻れないことは忘れずにいたいと思います。

始まりのゲームチェンジ、農業

 人類の生産にとって最初で最も重要なゲームチェンジは「農業」です。

 農業によって、狩猟採集の「獲得経済」から農耕、牧畜の「生産経済」へと移り変わることになります。

 この、生産経済への移り変わりから穀物生産量の増大、都市の形成、文字の発生、その他技術革新が進んでいきます。

 そう考えると、農業の発生は人類が、今に続く人間として歩む最初の大きなゲームチェンジなのかと感じました。

 そして、農業によって貯えが出来るようになり貧富の差が広がっていきます。

 現代に続く悩みもここから始まっているのかなと思いました。

情報媒体のゲームチェンジ

 歴史の中で、記録媒体も大きく変化しています。

 古代では、粘土板、パピルス、竹簡が紙へと変化します。

 そして、その形状も巻物状だったものから冊子へと変化します。

 冊子にすることで、検索性が抜群に増し、実用性が向上しました。

 さらに、印刷技術によってさらに情報が拡散されていきます。

 現在でも、この「知」のゲームチェンジは続いていて、インターネットで無限に広がりを持って行っています。

 本書でも、「知の開放」として取り上げられていますが、媒体も文字にとどまらず、アニメーションといったまさにゲームチェンジが起きているさなかなのかもしれません。

 発信も相互性が出てきたり、これからどのような方向に進んでいくか分かりませんがゲームチェンジを目の当たりにできている面白い分野だと思います。

感想

 様々な人類のゲームチェンジについて、歴史的事実を交えて解説しています。

 物・発明によるゲームチェンジから、思想・政治体制によるゲームチェンジなど様々な要因が歴史の転換点になっているころが知れます。

 ゲームチェンジの際の残酷な現実もあるので、なければそのままで、幸せなのかなとも思いましたが個人ではどうしようもないですね。

 流れに逆らわずというのは、一つポイントかと思ったので世の中の流れをよく見て、潰されないように生きていきたいです。

 歴史の転換点に焦点を当てて語られていますので、歴史好きな方にはおすすめな一冊です。

 ご一読ありがとうございます。

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