概要
タイトル:偉人たちのあんまりな死に方
著者 :ジョージア・ブラッグ
訳 :梶山あゆみ
題名通り、あんまりな死に方の数々が紹介されています。
ほんとの死の直前や死後死体がどうなったなどが語られていますが、なかなか残酷です。
※警告―血なまぐさい話が苦手なら、この本を読んではいけない
(中略)
本書で取りあげる人たちはとうに世を去っているとはいえ、最後の日々について読むのはけっして気持ちのいいものではないだろう。だが同時に、それぞれの物語には強く心を惹かれるはずだ。そして、痛み止めやX線や、石けんや救急車のある時代に生まれて、本当によかったと思うに違いない。
(はじめに p1/2-2/2)
構成
はじめに
第1章 ツタンカーメン
ー ミイラになって輪切りにされた少年王
第2章 ユリウス・カエサル
ー 二三人からめった刺しにされた英雄
第3章 クレオパトラ
ー 自らに毒針を突きたてた女王
第4章 クリストファー・コロンブス
ー 汚れたと痛みでぼろぼろになった船乗り
第5章 ヘンリー八世
ー 太って腐って破裂した王様
第6章 エリザベス一世
ー 死ぬことを意地でも拒みつづけた処女王
第7章 ポカホンタス
ー 見世物にされて捨てられた姫
第8章 ガリレオ・ガリレイ
ー あらゆる病気に冒された大科学者
ー 死の床で死者の曲を書いた音楽家
第10章 マリー・アントワネット
ー 首と胴が切り離された王妃
第11章 ジョージ・ワシントン
ー 血と水を抜かれて干上がった建国の父
第12章 ナポレオン・ポナパルト
ー 胃痛としゃっくりが止まらなかった皇帝
第13章 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン
ー 風船のようにふくれて蒸しあげられた作曲家
第14章 エドガー・アラン・ポー
ー 酒びたりの果ても錯乱死した疫病神
第15章 チャールズ・ディケンズ
ー 脳のなかのバランスが狂った人間ハリケーン
第16章 ジェームズ・A・ガーフィールド
ー 背中の中の穴に指を入れられた大統領
第17章 チャールズ・ダーウィン
ー 四〇〇万回嘔吐した小心者
第18章 マリー・キュリー
第19章 アルベルト・アインシュタイン
ー 脳を盗まれて切りきざまれた天才
おわりに
人物相関図
謝辞
訳者あとがき
文庫版追記
参考文献
ポイント
偉人の死体は盗まれる
本書に出てくる偉人たちですが、死後遺体を盗まれているくだりが多いです。
死体丸ごとではなく、部分が切りきざまれて盗まれているのはなかなかに残酷です。
特に、ツタンカーメンなどは復活のためにミイラにして保存していたのに、盗掘されたり、発掘者に盗まれたりと散々です。
ちなみに、ミイラは薬、紙、絵の具などに利用のされ方をされていたようです。
・薬 :骨折、動機、はしか(等に効くと信じられていた)
副作用として嘔吐や口臭
・紙 :巻かれていた包帯を紙に加工して肉屋で肉を包むのに使用されていました
→製紙工場の作業員がコレラになったので使用されなくなりました。
・絵の具:茶色の色具として使用
乾きにくかったり、ひび割れたりと使い勝手は悪かったようです。
利用しなくても良かったのでは、とも思ってしまいます・・・
ちなみに、ミイラの目玉ですが、乾燥する過程でしぼんでいるだけで水で戻すとほぼ元の大きさになるようです。
とにかく体液を抜いてみる
偉人たちが、命の危険な状態になったときの処置として体から悪いものを取り除くために、瀉血、甘汞、吐酒石などで体中から血や水分を絞り出していいました。
・瀉血: ナイフで静脈を切開して「悪い血」を体の外へ出す
・甘汞: 下剤(塩化水銀)
・吐酒石:嘔吐の薬(酒石酸アンモニウム)
当時の常識的な医療行為でしたが、当人にとってはとてつもない苦しみになっていたはずです。
常識なので、セカンドオピニオンも効果なしです。
今なら抗生物質を飲むだけで治るような病気でしたが、時代が悪かったとしか言えないです。
感想
偉人たちの晩年や死後について「あんまりな」状況が良く分かります。
同じ目にはあいたくないとつくづく思いました。
なかなかに残酷な描写も多いですが、文章が軽快なので描写に対して読み進めやすくなっています。
本書に出てくる偉人たちに興味がある方は読んでみると、新たな発見ができるかもしれません。
ご一読ありがとうございます。