概要
タイトル:「会計の世界史」
著者:田中靖浩(会計士)
経営コンサルティングや講演などで活躍されている田中靖浩さんが歴史の流れとともに進化してきた会計についてドラマティックに語られています。
本書でご一緒する「会計の歴史ツアー」の特徴は次の2点です。
・会計の歴史を物語として表現したこと
・簿記、会計、ファイナンスの全体を紹介したこと
(中略)
本書は「会計の全体像を、歴史とともに楽しく学べる」内容を目指しました。歴史の中には意外な学びが隠されています。決算書、国際会計基準、予算や企業価値の誕生した時代を訪ねることで、「会計に対する視野」を広げてもらえると思います。
(中略)
本書に細かい数字や計算はいっさい登場しません。会計を学ぶというよりは、エンタテインメントとして、この旅をお楽しみください。
(旅の始めに p4~5)
構成
旅のはじめに「会計の歴史ツアー」へようこそ
第1部 簿記と会社の誕生
第1章 15世紀イタリア |銀行革命|
第2章 15世紀イタリア |簿記革命|
第3章 17世紀オランダ |会社革命|
第2部 財務会計の歴史
第4章 19世紀イギリス |利益革命|
第5章 20世紀アメリカ |投資家革命|
第6章 21世紀グローバル |国際革命|
第7章 19世紀アメリカ |標準革命|
第8章 20世紀アメリカ |管理革命|
第9章 21世紀アメリカ |価値革命|
エピローグ
旅の終わりに あとがきに代えて
参考文献
読むきっかけ
最近、税金とかお金関係のことに興味を持ち始めました。
簿記の勉強などもして「仕分け」「精算表」「財務諸表」の簡単なところは少しずつでありますが分かるようになってきました。
ですが、会計という大きなくくりについてはあまり知らなかったので、「イタリア、イギリス、アメリカー500年の物語」という歴史も交えて解説があればよく理解できるのではないかと思い手に取りました。
感想
本を手に取るとわかるのですが、400ページ以上あるので読み応えがありました。
大きな会計の流れとして、
「自分のため」の会計(簿記)→「他人のため」の財務会計
に対して
紙、船、鉄道、自動車、家電の技術の発展とのつながりを解説しています。
また、その時代の絵画や音楽を交えた話もあります。
視点を変えてみることで会計の仕組みが出来上がった流れを理解しやすくなっています。
各章の中に、その時代の人物にフォーカスしたエピソードがあり感情移入して読むのも面白いです。
会計と親子の物語としての面を読み解いていく楽しみもありました。
(注:一部エピソードは事実に基づいて著者が面白く「盛って」います)
本書で500年かけて世界をぐるりと一周する旅の間、各地にいろいろな「父と息子」たちがいました。
みんな揃いも揃って貧乏で不器用な父親でしたが、彼らは息子にさまざまな財産を残しています。
イタリアのピエロは、
息子の才能を開花させる修業の場を用意しました。
イギリスのスティーブンソンは、
息子に夢に挑戦する楽しさを教えました。
アメリカのジョーは、
息子にアイルランド人初の名誉を勝ち取らせました。
アメリカのリーランドは、
息子たちに素晴らしい学びの場を提供しました。
リバプールのジムは、
息子に音楽の楽しさと、家族の温かさを教えました。
(エピローグ P412~413)
会計に興味がある方だけではなく、歴史好きな方、芸術好きな方も楽しめる内容になっていますので時間をかけてゆっくり読んでみてはいかがでしょうか?
ご一読ありがとうございます。