こゆのときどき日記

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「名画で学ぶ経済の世界史」を読んで

概要

タイトル:名画で学ぶ経済の世界史

著者:田中靖浩

 中世ヨーロッパから現代アメリカ大陸への絵画の歴史をそれぞれの時代の出来事に沿って解説しています。

 当時の経済的な状況と合わせてツアーを意識した文調で語られています。

 

 人々はどんな時代に、何について喜び、何を悲しみ、そして乗り越えてきたのか。

 さあ、ヨーロッパ絵画をもとに彼らの「勇気と再生の物語」を訪ねましょう。

 それは長い時を経て、絵画が私たちへ届けてくれた「未来へ虹を架ける物語」です。

(プロローグ p8)

構成

プロローグ ペストとルネサンスと虹と

Romm1  ペストと不況から立ち上がったイタリアの物語

Romm2  貧しさを反骨心ではね返したフランドルの物語

Romm3  憎しみを金融パワーに変えたオランダの物語

Romm4  混乱からブランドを生んだフランスの物語

Romm5  反発から新興市場を切り拓いたフランスの物語

Romm6  技術革新の不安を乗り越えたイギリスの物語

Romm7  禁欲と強欲から儲けを生んだ新大陸の物語

 ポイント

 各時代の絵画と描かれた当時の出来事を知ることができます。

 美術品を現在のように一般大衆が見れるようになったのは、ナポレオンのPR戦略がきっかけだったことは驚きました。

 現在、私が美術館に行って鑑賞できるのもナポレオンのおかげかな?と思うと歴史とのつながりを感じられて面白いです。

 

 絵画のマーケットには「発行マーケット」と「流通マーケット」の2種類があります。

 ・発行マーケット→画家が代理人画商を通じて自らの絵を売り出す

 ・流通マーケット→画家の絵を手を離れて流通している絵画が売買される

ゴッホなどは、死後流通マーケットで評価されているため極貧生活を送っていました。

 

 文明の利器に対しての画家の対応についても書かれています。

 カメラが登場して画家のターナーはカメラの「正確な描写」に対して「見えないものまで描いてこうとする」姿勢で臨んでいました。

 新しいものに対する画家の姿勢から、今私たちが対峙しているAIなどへの新技術への付き合い方のヒントがないかと述べられています。

感想

 カラーの歴史的な絵画の挿絵とともに語られている出来事が、面白くマッチしています。

 ツアー形式なので、各Roomごとに独立して読んでも楽しめます。

 また、会計士の著者は絵も決算書も読むことを楽しむことを進めているので、参考にしたいと思いました。

 絵でいえば写生、決算書でいえば簿記。そんな「実技=描く・作る」ことから勉強を始めてしまった初心者は、苦手意識をもってしまうのです。

 絵も決算書も、実技から学ぶのはもう止めて、「読む」ことを楽しんだほうがいいと思います。そうすればどちらも好きになれます。

(Room-2 貧しさを反骨心ではね返したフランドルの物語 p60)

  ご一読ありがとうございます。

 

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