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「会計の日本史」を読んで

概要

タイトル:会計の日本史

著者:大村大次郎

 日本の歴史と会計の関係について述べられています。

 古代から近代の中で社会を統治していく仕組みとして活用のされ方などを知ることができます。

 世の中の現象は、「イメージ」と「実際」がかなり乖離していることがよくあります。

 しかし、会計的にその現象を分析してみると、実像が明確に見えてくることもあります。いわゆる「見える化」ということです。

 そして歴史の中の出来事も、会計的なものの見方によってまったくイメージが異なってくることもあるのです。

(中略)

 戦国武将は治安維持という名目で、戦場の住民から戦費徴収をよく行っていました。織田信長もそのひとりですが、彼の場合、徴収した地域には信長の名で御札を発行していました。その御札がある地域は二度と戦費を払わなくてよく、戦乱で荒らされることもありませんでした。そういく会計的にきっちりしたところが、信長の強みであり、地域住民たちの支持を得た要因でもあるのです。

 本書では、こういう具合に、日本の歴史を会計的に探っていこうという趣旨をもっています。本書を読めば、きっとこれまでとは違った歴史イメージを持つことになる。筆者はそう自負しています。

(はじめに p2-3)

構成

はじめに 歴史的大事件を「見える化」する会計的してんとは?

第1章  大和朝廷は会計力で国を統一した

第2章  坊主と武士は勘定に強かった

第3章  戦国時代の会計革命

第4章  江戸時代の優れた会計官たち

第5章  明治維新の収支決算

第6章  会計から読み解く戦前社会

第7章  高度成長とバブルの会計事情

第8章  平成”失われた30年間”の会計内容

おわりに 会計的視点で読み解く日本の現在と未来

 参考文献

 感想

 日本史×会計で会計の日本史への関連性を面白く知ることができます。

 私が特に興味深かったのは、古代に優秀な会計制度があってそれを運用する社会ができていたこと、西郷隆盛が実は優秀な会計官であったことです。

 大化の改新の頃にはすでに優れた会計システムを持っていて、運用することができたことが述べられています。

 学生の頃に習った「班田収授の法」の裏側にそんな高度なことまであったとわかって面白いです。

 大化の改新というのは、それまでの社会制度を一新した改革です。「大化の改新」で行われた具体的な内容は、主に次のようなものでした。

◎豪族等による田畑の私有を禁止し、すべては朝廷の領地とする

(中略)

「土地はすべて国家のもの」「民は国から土地を貸与されているだけ」というものです。

 いわゆる「班田収授の法」です。

(中略)

 これらは会計制度が整っていなければ、成し遂げることはできません。

 ひとくちに「土地の私的所有を禁止する」といっても、その実行はそう簡単にできるものではないのです。

 まず全国の土地を把握しなければなりませんし、米の収穫量、土地の産品、各地域の人口なども確認しなければなりません。大和政権では、それらをかなり詳細に把握していたようなのです。

 そこには、もちろん高度な会計技術があったことが推測されます。

(第1章 大和朝廷は会計力で国を統一した p16-19)

 西郷隆盛は、もともと薩摩藩の会計官僚から出世してきて「廃藩置県」に関わる働きについて述べられています。

 「廃藩置県」というのは、封建制度を壊した社会改革として捉えられがちですが、もっとも大きな目的は「財源確保」でした。それまで拡販に握られていた全国の超税収権を新政府が取り上げる、そうすることで新政府の財源を賄う、といものだったのです。

 この「廃藩置県」は、西郷の「鶴のひと声」で実行されたとされています。新政府の要人たちも、全部の班を廃止させるというような思い切った改革には、なかなか手がつけられませんでした。300年近くも続いてきた藩という制度を壊すとなると、全国の藩士たちの強い反発が予想されたからです。

 しかし、西郷が「やらなくてはならないことはやるしかないのだ」と一喝し、廃藩置県が実現しました。それも西郷が、新政府の財政事情に非常に詳しかったからこそのことなのです。西郷は、廃藩置県をやらなくては、新政府の基盤となる財源が得られないことを重々承知していました。だからこそ、明治維新早々に、廃藩置県という大変革をやってのけたのです。

(第5章明治維新の収支決算 p153-154)

 最近はいろいろな歴史と会計の本が出ていますが、読むと新しい視点で日本の歴史も知れますしおすすめです。

 ご一読ありがとうございます。

 

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