概要
タイトル:10年後に食える仕事食えない仕事
AI、ロボット化で変わる職のカタチ
著者 :渡邊正裕
AIやロボットの性能は日々向上しています。
テクノロジーの進歩によって変わっていく仕事の形から、人間・機械の強み、知職集約・技能集約といった観点を中心にして仕事の未来予想をしています。
これから仕事選びを始める人から働いている人まで、「働く側」の立場で現場取材に基づいたミクロ・マクロの視点から語られています。
ITを中心とするテクノロジー進化で、日本人の仕事はどう変わろうとしているのか。その立体的な視座ーどの職業が、仕事量・賃金水準・雇用について、時間軸でどう変化していくのか、どこに落とし穴、そしてチャンスがあるのかーを提供し、未来を見据えたキャリア設計に寄与するのが、本書の目的である。
(この本の<目的>ー2020年以降の職業、仕事選びに p4)
構成
この本の<読み方>ー各世代、すべての働き手が対応を迫られている
この本の<目的>ー2020年以降の職業、仕事選びに
第一章 「人間の強み」が不可欠な仕事の条件
第二章 「AI・ロボットの強み」が活かせる仕事
第三章 各エリアの職業とその特徴
第四章 いつまでに何が変わるのか
第五章 消える仕事、生まれる仕事
第六章 仕事をどう選び、シフトするべきか
終章 10年後、20年後の日本人の雇用
あとがき
ポイント
人間の強み、5つのワーク
AI化、自動化が進むなかで人間の強みを活かせる業務は何か、本書では現場労働者からのヒアリングから業務遂行能力の共通点をまとめ仮説と検証しています。
AIが得意な業務の条件として、情報の取得、分析、執行環境の整備があります。
これが揃っていないと、どこかがボトルネックとなってしまい運用がうまく行きません。
AIの弱み=人間の強み、でありそこから人間に残っていく業務を以下の5つにまとめられています。
1.創造ワーク :ゼロから1を生み出す発想力・想像力が必要な業務
2.感情ワーク :人の感情を読み取り対応する業務
3.信用ワーク :プライバシーなどの秘匿性の高い情報に関わる業務
4.手先ワーク :機械化ができないような指を駆使しした繊細な業務
5.ボディワーク:人間が現場に行くことではじめてミッションを達成できる業務
上記5つに自分のしている業務を仕分けしてみると、今後も残りそうな業務、なくなってしまうような業務に気づけるかもしれません。
力を入れていくべきの方向性を掴むのに役立つと思います。
AI化で消える仕事、残る仕事
本書では、人間・機械の強み、知職集約・技能集約という2つの軸を使って、AI化により消える仕事、残る仕事を5つにマッピングしています。
・ロボティクス失業:技能集約的、人間が生身で行なっていた仕事が機械に置き換わる
・手先ジョブ:技能集約的で人間の強みがあるものの、顧客から見たら人間でも機械でもよい仕事
・職人プレミアム:技能集約的な職業のうち、顧客が人間の作業に価値を感じてより多くの対価を払う仕事
・AI・ブロックチェーン失業:知的集約的、身体性が少なくAIプログラム等へ代替される仕事
・デジタル・ケンタウロス:知的集約的、AIとの協業によって高い成果をあげられる仕事
残っていく仕事として、手先ジョブ、職人プレミアム、デジタル・ケンタウロスの仕事群があげられています。
仕事の区分けと具体的な例をあげて、イメージしやすいよう解説されていてわかりやすい内容になっています。
技能集約的→ロボティクス、知的集約的→AI・ブロックチェーンへ移行するかどうかが仕事が残るかどうかの分岐点になってきます。
変化の壁
仕事が無くなるか無くならないか、そのスピードを決める4つの壁があります。
・技術の壁
・コストの壁
・既得権の壁
・リーダーシップ
なかでも、既得権益の壁の分厚さを十二分に感じてしまいました。
利害関係にある人は多く、今働いている人に対してのインセンティブがない状態では、突破するのは困難です。
何もせず、悠々自適にやっていても世の中上手くいってた時代だとそれでもいいかなと思いますが、人は少なくなるし、海外と競争はしないといけないとなると、なんとかなってほしいなと思います。
今流行りですが。AIの活用や自動化について改めて考えさせられてしまいました。
10年後、20年後の日本の雇用
終章では、これまで述べてきたAIやロボット化による仕事の変化から将来の雇用について予想されています。
AI化、ロボット化であげられた利益が還元されるかといった問題、働き手の2極化、労働者の再定義の必要性など、消費する側としては便利になるが働く側にはなかなか厳しい世の中がやってきていることを感じさせられました。
感想
これからの仕事について、AI、ロボットとの関りから考えさせられます。
5つのエリアへ職業をマッピングして、人の強みが残る領域で働く、もしくはシフトしていくことを奨めています。
具体的な職業について、著者の取材をもとに述べられているので現状認識と未来予測の点で大変参考になりました。
AIやロボットを上手く使いこなして既存の労力を減らし、人間の信用やコミュニケーション能力を+αとして成果を上げていく「デジタルケンタウロス」、AIやロボットが介入できない領域で活躍する「職人プレミアム」が生き残り領域となるので、そこへいかに行くかが鍵になると感じました。
これから職業を考える方だけでなく、今働いている方にもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。