概要
タイトル:仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン
オリンピックに出場し、世界大会でメダルも獲得したアスリートの為末大さんのアスリート人生、アスリート後の人生を振り返り、仕事人生の切り替え時をリセットと位置付けています。
競争厳しいスポーツの競技人生で、リセットとどう付き合ってきたのか、どんな葛藤があったのかが述べられています。
スポーツ選手の競技人生は一般のサラリーマンよりも短くリセットのタイミングも早く迫られます。
早い時点で仕事人生のリセットを経験した、為末大さんの経験から自分の仕事への向き合い方を考えることができます。
本書『仕事人生のリセットボタンー転機のレッスン』は、今を懸命に生きる三十代以上のビジネスパーソンが、長期化する自らの仕事人生をいきいきと過ごすために役立てることのできるヒントが書かれている本です。転機につながるような人生の出来事をとらえ、いかに、自らを「リセット」するのか。本書では、仕事人生のリセットボタンに関する機微が書かれています。
(中略)
あなたは、よいタイミングで「リセットボタン」を押せそうですか?
本書を傍らに、そのタイミングを考える「贅沢な時間」を持ってみませんか?
(中略)
本書の読者の方々には、一流のアスリートである為末大さんの仕事人生上の選択から、多くを学び、リセットボタンとうまくつきあう方法を考えていただければと思います。
(はじめに p007-024)
構成
はじめに
第1章 右肩上がりの単線エスカレータ人生はもう終わり
第2章 勝てる傍流か、負ける主流か?
第3章 新たなスタートを切るために
第4章 自分の経験をリフレクションする
おわりに
ポイント
ホステージ理論
勤続年数に対する生産性のカーブと賃金のカーブのグラフを描いたときに
・生産性>賃金(過小支払い)
・生産性<賃金(過大支払い)
となる点が交差することをホステージ理論といいます。
これまで(少し前?)までの日本の会社では若いうちに安い賃金で働いて年を取ってから取り返すこの理論が成り立っていましたが、どんどん変わっていってしまっています。
賃金が上がりにくくなり、賃金と生産性の交差点が遠くなっていったり、そもそもジョブ型などで成果をあげただけの支払いに変わったりしています。
ホステージ曲線の理論に乗っていたつもりでいたら違ったなんて悪夢でしかないです。
この理論をアスリートに当てはめているのですが、練習量>成果となる期待からのがれれず、やめ時を見誤ってしまうそうです。
この辺りのはなしは、対談が東洋経済の記事にもなっていました。
toyokeizai.net才能と努力の話
限界の定義
為末さんも、短距離走者からハードルへの転向、アスリートの引退等、何度もこのホステージ曲線の抱える難題にぶつかっています。
努力信仰の罠のようなものですが、これに対して限界を定義しないといけないと述べています。
限界が分かって、始めてリソースの最適化ができる。
自分に合ったのも、人生においての損切りを実行することができる。
確かに、せっかく立てた計画もリソース配分が適切でないとただ計画の計画倒れになってしまいます。
私としては、“限界”という言葉は計画をシビアに考える上でもいいなと感じました。
感想
為末さんの人生をなぞりながら、人生のリセットとどう向き合っていくのかを考えさせられます。
アスリートの競技者人生は、会社員の仕事人生と比べると短いので、早い段階で人生の転換点に立ち会う機会に直面します。
人生山あり谷ありですが、人生のリセット地点に立たされた時、変化を受け入れて新しいキャリアへ踏み出す困難さ、大切さを知ることができます。
アスリートの人生に興味のある方だけでなく、キャリアの転換点などの岐路に興味のある方にもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。