こゆのときどき日記

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「奇書の世界史」を読んで

概要

タイトル:奇書の世界史

     歴史を動かす”ヤバい書物”の物語

著者:三崎律日

 これまで世界中で出版されたきた「奇書」の数々が紹介されています。

 本の解説からそれぞれの書物が発行された時代の常識と現代の常識の違いのギャップを知ることができます。

 現在では、ばからしいことでも当時はまじめに信じられていたことに面白さを感じたり、ぞっとしたりします。 

 過去の人々は、私たちとは違うのだ。

 では、彼らはどこまでちがうのだろう?

 その疑問に答えてくれるのが本書だ。

(解説 p306)

 

 本書が面白いのは、「過去の人々がどれほど違うか」を語ることによって、その裏返しとして「どこまで同じか」も見えてくることだ。

(解説 p309)

構成

はじめに 

01   魔女に与える鉄槌

02   台湾史

03   ヴィオニッチ手稿

04   野球と其害毒

05   穏健なる提案

06   非現実の王国で

07   フラーレンによる52Kでの超伝導

08   軟骨を拭うスポンジ

     そのスポンジを絞り上げる

09   サンゴルスキーの『ルバイヤート

10   椿井文書

11   ビリティスの歌

【番外編】

01   天体の回転について

02   物の本質について

03   月世界旅行

解説

おわりに

参考文献

ポイント

 副題に「ヤバい書物」とあるだけに今では出版できないような本も紹介されていて解説を読んでいるだけでゾッとするものもあります。

 「台湾史」「椿井文書」は、偽の歴史をさも本物のように信じ込ませる過程が書かれています。

 外から読んでいると客観的に見ていられますが、当時読んでしまっていたら自分も信じ込んでしまったかと不安になりました。

 「フラーレンによる52Kでの超伝導」は科学の分野での偽造論文について語られています。

 論文が偽造と分かるまでに、多くの研修者が振り回され時間と労力が浪費されてしまうとう事態になったことと合わせて、見抜く難しさについて考えさせられます。

 特に一般人にとっては、どこまでかは信じるしかないところはどうしようもないと感じてしまいます。

 

  本書の中では、捏造や現在と当時の常識の違いによる偽書が多く取り上げられていますが、「月世界旅行」は一味違った解説となっています。

 ジュールベルヌのSF小説月世界旅行」から始まるドイツのロケット開発、ソ連アメリカの宇宙開発競争の解説は情熱を感じるものがあります。

 感想

 紹介されている本は、出版されたのが昔のものが多いので原書をそのまま読むことは難しいと思いますが、こういったものがあったと知っておくだけでも面白いと思います。

 現在だとおかしいことも当時の常識からするとまっとうなことととらえられているギャップを面白く感じることができます。

 ただ、現在であっても同じようなことは起こっていると思います。

 普段自分の信じていることもたまには疑ってかかることも必要かもしれませんね。

  ご一読ありがとうございます。

 

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