概要
タイトル:茶の世界史
緑茶の文化と紅茶の社会
著者 :角山栄
私たちに身近なお茶。
世界各地に様々なお茶があります。
日本茶、紅茶の世界各地での受け入れられ方、コーヒーやワインといった他の飲料との競争などを通して世界史との繋がりを垣間見ることができます。
十六世紀に日本を訪れたヨーロッパ人は茶の湯の文化に深い憧憬を抱いた。茶に魅せられ茶を求めることから、ヨーロッパ近代史は始まる。
なかでもイギリスは独特の紅茶文化を創りあげ、茶と綿布を促進剤として伸長した資本主義は、やがて東洋の門戸を叩く。
突如世界市場に放り出された日本の輸出品「茶」は、商品としてはもはや敗勢明らかだった。読書がいま手に茶碗をお持ちなら、その中身は世界史を動かしたのである。
(カバー袖)
構成
プロローグ
第一部 文化としての茶 ー 緑茶 vs. 紅茶
第二部 商品としての茶 ー 世界市場における日本の茶
エピローグ
参考文献
あとがき
ポイント
日本茶
16世紀の大航海時代に日本へ訪れたヨーロッパ人が日本の茶と出会います。
茶器を大切にすること、茶の葉を粉にして茶を作り飲む姿は、訪れた外国人の目をひいたいようです。
茶器を大切にすることは、現代の海外のティーセットの扱いにも通じるところがあると感じます。
しかしながら、ヨーロッパで茶はコーヒーや紅茶などに取って代わられてしまします。
16〜17世紀は東洋の先進的な文化としてお茶にも魅力を感じていましたが、産業革命を経て近代化したヨーロッパの国々からは文化的な魅力のある品として見られなくなってしまいます。
日本も海外に展開する努力はするものの、価格や品質の問題もあり商品とした日本茶は海外での主な飲み物の座になることは出来ませんでした。
感想
世界史の流れとお茶のつながりを知ることができます。
日本茶は、文化的に魅力のあるものとしてヨーロッパへ知られますが、世界的に定着することは出来ませんでした。
しかしながら、日本茶が一時的にでも世界に広がっていたのは興味深かったです。
現在、海外から訪れる方に注目される文化の一つとして日本のお茶があると思います。再び注目を浴びているお茶の歴史を感じると普段のお茶の味わいも変わってきそうです。
他にも、イギリスの紅茶文化への記述などもあって、時代とお茶の世界的な関わりに詳しくなれます。
世界史に興味のある方、お茶をよく飲まれる方などにおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。