概要
会場・期間
会場:熊本市現代美術館
会期:10月7日(土)~12月17日(日)
企画展開催概要
テクノロジーの発展とともに、莫大な画像、映像の数々を残すことができています。
写真が残す記録、映像を組み合わせたりなどして、様々な形で作品が作り上げられています。
それぞれの作家さんたちが、テクノロジーをテーマ、もしくは利用した作品の中で訴えています。
20世紀後半以降、人、資本、情報の移動は世界規模に広がりました。2010年代から本格化したスマートデバイスの普及とともに、オーバーツーリズム、生産コストと環境負担の途上国への転嫁、情報格差など、グローバルな移動に伴う問題を抱えたまま、私たちは2020年代を迎えました。そして、2020年に始まった国境のないパンデミックにより、人の移動が不意に停止されたものの、資本と情報の移動が止まる気配はありませんでした。かえって、資本や情報の本当の姿が見えてくるようになったと思えます。豊かさと貧しさ。強さと弱さ。私たちの世界のいびつな姿はますます露骨に、あらわになるようです。
展覧会タイトル「遠距離現在 Universal / Remote」は、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況を踏まえたものです。監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。本展は、「Pan-の規模で拡大し続ける社会」、「リモート化する個人」を軸に、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方に取り組んだ8名と1組の作品をご紹介します。
展示作品
心当たりの親族へ(ティナ・エングホフ)
デンマークでは、孤独死した人物の身元引受人が現れない場合、小さいですが新聞記事に掲載します。
そういった方の部屋の一室を写真に収めた数々が展示されています。
福祉国家故、自立できる環境と強い自立志向をもっていますが、人と人とのつながりが薄くなっていることの問題点に焦点を当てています。
写真自体も喪失感を感じるような、生活感が残っている中にすっぽり抜け落ちた印象を受けます。
Fever(井田大介)
SNSの炎上を人のブロンズ像が焼かれて破壊されることで表現しています。
全身を焼かれたうえで、最後に足元が焼き切られたブロンズ像は恐ろしいです。
まさに、足元に気をつけようを感じました。
作品の制作過程をビデオで放映していますが、炎の火力や集中して足元に集中する様はなかなか衝撃的で目が離せなかったです。
まとめ
作品それぞれに、現代のテクノロジーや社会問題に焦点を当てています。
美術館では、作家ごとの展示室に作品の意図も含めて紹介文があり、読むと一層感じ入って作品を鑑賞することができます。
ちょっとナイーブな気持ちになることもありましたが、現代の問題を考えさせられながら鑑賞したりといい機会になったと思います。
街中にありますし、近くにお立ち寄りの際は是非行かれてみてください。
ご一読ありがとうございます。