概要
タイトル:9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方
著者 :福島文二郎
ディズニーのスタッフのクオリティがなぜ高いのか、教える側の心構えや伝える際のコツなどが述べられています。
人材教育や職場の風土づくりについて、実例を交えながら分かりやすく解説しています。
ディズニーには「人は経験で変わる・育つ」という考え方があります。
人には変わる・育つ可能性があり、その可能性を実現することが、ディズニーの高いクオリティを維持していくことにつながると考えているのです。
そのために、この本でも紹介するような研修、トレーニング、アルバイト・社員間での話し合いなど、さまざまなことが実践されています。
(中略)
ディズニーの研修やしくみ・風土には、①社員、②顧客、③会社の信頼関係を築く、すなわち「3コンフィデンス」を実現するための考え方、メソッドが詰まっています。
後輩教育にあたる上司・先輩のみなさんは、それらの考え方・メソッドを、後輩の育成・自立のために大いに活用してください。
(PROLOGUE 人は育つ p24−)
構成
PROLOGUE 人は育つ ー なぜ、バイトが9割でも最高のサービスを提供できるのか?
CHAPTER1 育てる前に教える側の「足場」を固める
CHAPTER2 後輩との信頼関係を築く
CHAPTER3 後輩のコミュニケーション能力を高める
CHAPTER4 後輩のモチベーションを高める
CHAPTER5 後輩の自立心・主体性を育てる
おわりに
ポイント
理想の上司・先輩
理想の上司・先輩像として、以下を述べています。
・リーダーシップを持っている
・ゲストを良く見ている
・後輩を良く見ている、後輩にマメに声をかける
・改善点を見つけたら、すぐに改善するための行動を起こす
教える側の迎え入れる体制ができているかということかと思います。
そもそも自分の仕事をきっちりして周りに気を配っていけるかが重要です。
後輩を育てるときに欠かせない3つのポイント
ディズニーでの後輩を育てる際、基本的に求められていることとして次の3つがあげられています。
・教える内容・教え方が論理的であること
・心理的な工夫がほどこされていること
・上司・先輩が教えることに熱意を持っていること
特に、心理的な工夫については、重要ですが見過ごしやすい点な一方、教育などで組織的に結構改善もできる部分だと感じました。
入社したばかりの後輩には、基本的なことにポイントを絞り、シンプルな教え方を心がけるなど、ちょっと意識して実践するだけでも効果のあるやり方が紹介されています。
自分が扱われたように、後輩は人を扱う
ディズニーでは、導入研修の際に後輩キャストをパークで迎えるゲストのように手厚く迎えます。
「人は、自分が扱われたように人を扱う」といった考えを持っており、ゲストも同じように手厚く迎えて欲しいといった願いが込められています。
これは、組織に所属されたことのある方は、思うところあるのではないでしょうか。
人間、周囲の人の影響は受けますし、特に最初の仕事で受ける教育の影響は絶大です。
組織の文化もこういったところからできていて、日常感じる部署間での特色の違いも脈々と受け継がれてきた指導の賜物なのでしょう。
良い組織を作りたいときには心がけたいことです。
後輩の状態に合わせて対応を変える
後輩の心身が充実しているか、疲労しているかによって、対応方法を変えることに注意する必要があります。
・心身が充実している状態→コーチング的対応(目標設定)
1.質問
「あなたが理想としているのは、どういうことですか」
2.意思確認
「その理想に近づきたいと思いますか」
3.第一歩目の目標
「そのために、いつまでを目途に、何をしたいと思っていますか」
4.サポートを受ける意志
「私は、こういうサポートができますが、サポートを受けますか」
といった具合に理想へ近づくサポートをしていきます.
・心身ともに疲弊している状態→カウンセリング的対応(傾聴)
次の点に注意して、徹底して傾聴することが大切です.
1.個室で、時間は長くても1時間
2.相手が話し始めたら、途中でさえぎらずに話し終えるまで聞いてあげる
◆うなづく
◆相づちを打つ
◆気持ちを代弁する:例)「そう、悲しい気持ちになったんだね」
◆話している相手の、表情や使う形容詞にも注意を払う
3.評価しない、同情しない、結論を急がない
(再面談するくらい心の余裕を持つ)
相手の気持ちを整理するような対応が必要だと述べています。
教える側もつい力が入って、前のめりになってしまう事もあると思いますが、一旦落ち着いて相手の感情を確認してから対応をすることは大切です。
感想
ディズニーの人材育成本といった感じです。
先輩社員などの教える側が、どういった考え方から教育を行っっているかが分かります。
教わる側の気持ちにを考えて、モチベーションが高くなるよう配慮されています。
組織の状況に不安を抱いている方や他人への教育に悩んでいる方にはおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。