概要
タイトル:史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち
著者 :飲茶
カバーイラスト:板垣恵介
バキ風哲学入門書です。
今回は東洋哲学編になります。
西洋哲学とは異なる、ゴールから始まる難解な東洋哲学と向き合っています。
インド哲学、中国哲学、日本哲学、東へ東へと渡ってきた東洋哲学の様々な人物の悟った真理について語らってくれています。
今東洋哲学入門書には何が足りなかったのだろうか?その答えをもとめ、菩提樹の下でひたすら黙想を続けたある日のこと、突如、悟りにも似た典型のようなひらめきが脳を突き刺す。そうだ!「バキ」分が足りなかったのだ!
(中略)
東洋の哲学者たちは、みなこう述べています。
「我は、真理を悟った、真理に到達した」
(中略)
東洋哲学者というと、にこやかで温厚そうな、謙虚で柔和な表情の人を思い浮かべがちかもしれませんが、そんなふうに自分の哲学に一切疑いを持たず「真理(最強)」を宣言してしまう人たちなのですから、実際のところは、普通の人が見たら裸足で逃げ出してまうような「鬼」みたいな形相をしていたのではないでしょうか?もし、彼らが、「無知を自覚しなさい」というソクラテスに出会ったら、凶悪な貌でこう答えたかもしれません。
「―無知を知りたい」
(まえがき p002-005)
構成
まえがき
第一章 インド哲学 悟りの真理
第ニ章 中国哲学 タオの真理
第三章 日本哲学 禅の真理
あとがき
ポイント
前作が西洋哲学を取り扱っていたので、その対比としての東洋哲学を解説をしてもします。
悟りありきに東洋哲学、解釈が膨大にでてくるということは印象的でした。
東洋哲学はピラミッド型
西洋哲学と東洋哲学では難解さの質が違うと述べています。
西洋哲学:階段型に積み上げられた学問
→長い歴史の途中から知ろうとするから分からない
→順序だてに追いかければ理解が進んでいく
東洋哲学:ピラミッド型、始まりですでに悟っている
→なぜ、その結論に達したのか過程が不明
→解釈していくしかない
→学べば学ぶほどわけがわからなくなる
さらに、ここに体験的理解が必要となることがさらなる困難さを生じさせています。
これは、東洋哲学は理解したなんてとても言えないなと感じてしまいました。
しかしながら、このわけわからない感じが、東洋哲学における解釈の多様性などの面白さや魅力の源泉にもなっている気がしました。
インドと中国の輪廻転生
インドから中国へ仏教が伝来した時、捉え方の違いがから仏教は変わっていきます。
例えば、輪廻転生、インドでは無限の死から「苦」として捉えられていますが、中国では、また生まれることができる「楽」として捉えられていたそうです。
東洋哲学でも土台の文化の違いでとらえ方が変わってくるのは面白いですね。
日本へ来た仏教
東へ東へ伝わってきた東洋哲学は、親鸞によって昇華されていくことになります。
「他力本願」「悪人往生」の考え方です。
自力を過信しすぎないことを指摘していると私は解釈しました。
本書でも解説がなされていますが、なかなか難解でしたので、頭こんがらがりそうになりながら自分なりに解釈してみました。
感想
西洋哲学よりも難解な東洋哲学ですが、わからなかった見方を発見できる機会になります。
中国哲学では歴史とも合わせて見ると楽しめるのかなと思います。
語り口は、西洋哲学同様に熱いので、誰が最強か!と考えて読み進めていくとさらに面白く読んでいけるはずです。
西洋哲学編を読んで、東洋哲学も読みたいな、東洋哲学っていったいどんなものなのかと思っている方におすすめな一冊です。
もちろんバキ好きの方にもおすすめです。