概要
タイトル:史上最強の哲学入門
著者 :飲茶
カバーイラスト:板垣啓介
バキ風哲学入門書です。
次々に現れる哲学者たちが先代の論者たちの考えを否定・肯定しながら新しい哲学を見出していく流れが面白いです。
ヘラクレイトスからデリタまで西洋哲学者の数々の戦いび歴史を知ることができます。
難しい哲学ですが、本書の「バキ」風解説が入り口をのり良く開いてくれます。
今までの哲学入門書には何が足りなかったのだろうか?
結論を先に言うなら、「バキ」分が足りなかったのです。
(中略)
最強を目指して、戦い続ける男たちの物語。そういった熱い展開、テイストを哲学入門に持ち込んだらどうだろうかと考えました。実のところ、格闘家が「強さ」に一生をかけた人間たちであるように、哲学者も「強い論(誰もが正しいと認めざるを得ない論)」の追求に人生のすべてを費やした人間たちなのです。
(まえがき p6-7)
構成
まえがき
第一ラウンド 真理の『真理』
―絶対的な真理なんてホントウにあるの?
第ニラウンド 国家の『真理』
―僕たちはなんで働かなきゃいけないの?
第三ラウンド 神様の『真理』
―神は死んだってどういうこと?
第四ラウンド 存在の『真理』
―存在するってどういうこと?
あとがき
ポイント
誰の考え方が正しいとか難しいとか判断するのは非常に難しいです。
ただ、哲学が発展していく中での前後の関係性などは当時の考え方などは非常に興味深いです。
[真理]カリスマ的人気のMr.インテリ サルトル
「人間は自由の刑に処せられている」
何をしても構わない、ただし何が正解かもわからないそんな状態で人間は決断していかなければいけない。
そして、その結果を自分で受け止めなければいけないという厳しい見方をしています。
では、どうするか?
回答は、「選ぶしかない」どうせ自由の刑に処されているのなら思い切って決断すべきと述べています。
考え方としては、さっぱりしていて好きですね。
ただ、当時の時代背景の解説として共産主義革命や学生運動につながってしまったのは少し怖いなと思いました。
[国家]文明社会を批判した倒錯者 ルソー
人民主権を叫んだルソーですが結構ダメな一面(?)もあったようです。
ルソーには、情緒的で感傷的な、みんなを泣かせる大衆受けをする文章を書く才能があったようですが40歳近くに披露されるまでは本人も気づいていなかったようです。
それまで、ルソーは彫刻をやったり音楽をやったり貴婦人の前にお尻を出して現れたりしていたようです。
結構ヤバいですね。
それでも教育的な思想に大きく影響を与えていて、人生いつからどうなるか分からないないものですね。
あきらめず(?)頑張りましょう!
[神様]現代キリスト教の立役者 アウグスティヌス
アウグスティヌスが提唱した「懺悔的教義」(努力による自力救済の否定)によって当時分裂していたキリスト教をまとめ上げることに成功しました。
人間は弱い生き物なので、禁欲的な努力を説いても一般の人が付いていけなかったところろが変わったことでキリスト教は世界宗教にまで発展しました。
アウグスティヌスの人間味あふれる哲学思想が本書では
「だって我慢できないんだもん!」
といったように、分かりやすく面白く表現されています。
[存在]言語に革命を起こした ソシュール
「言語とは異差のシステムである」
区別する価値があるので、名前がそれぞれついている。
区別するものがいるから存在している。
この理論は学生の講義で説明されるのですが、発表する前に悲劇的にもソシュールは亡くなってしまいます。
講義を受けた学生が、「一般言語学講義」として理論をまとめて世に出されるという感動のエピソードを知ることが出来ました。
まさに、ソシュール自身が価値を認められて存在し続けている存在になっています。
感想
哲学の本なので、どういった理論であるという内容は少し難しい所はあります。
私の文では全然内容が説明できていません。
しかし、各哲学者同士のつながり、人生も合わせて物語的に解説されているので、感情移入しながら読むことができます。
哲学に興味があるけど、読めていなかった方や哲学者の人生も面白く知りたい方にもおすすめの一冊です。
もちろんバキ好きの方にもおすすめです。