概要
タイトル:人は悪魔に熱狂する
著者:松本健太郎
データサイエンティストとして活躍されている著者が何が人の気を引くのか、ヒットというのはどういう心理が働いているのかを述べています。
―著者はデータサイエンティストとして主にマーケティング領域で活動していますので、とくに最近は「人口知能を使ってヒット商品を発見できないの?」といった相談を受ける機会が増えました。ただ、その都度、このようにお答えしています。
「膨大なデータを眺めて『次のヒットは確率的にこれ』と予想するよりも、人間の悪の側面を眺めて『こういう煩悩は誰もが持っているからヒットしそう』と予想する方が、よぼどヒットする確率が高いです」
(表紙裏より)
構成
序章 ヒット商品には必ず、”悪”の顔がある
第1章 人は「強欲」な存在である
第2章 「怒り」が人を動かす
第3章 人は「怠惰」な動物である
第4章 言葉は人を騙す
第5章 嘘は真実より美しい
第6章 人は「矛盾」に満ちている
おわりに
感想
「強欲」「怒り」「怠惰」などいわいる悪い感情といわれるものが人間の行動にどうつながっていくのか面白く解説されています。
各章の導入に昔話を使って、解説が始まる点も要点が分かりやすくなっています。
特に印象に残ったのは「「サボりたい」という人間のダークサイド」です。
「「サボりたい」という人間のダークサイド」では、「怠惰」というのは良くない感情とされますが、そこから生まれるイノベーションは良いもので否定するものではないと述べています。
日本企業だけでなく日本社会全体の価値観として、「要領よく進めて苦労を避ける」「手を抜ける場面で楽をする」のは「悪」とされがちで、「いやな出来事があっても耐える」「手を動かして一生懸命頑張る」のは「善」とされがちです。もはや、それが「美徳」なのです。
(中略)
「苦労を避ける」「楽をする」のは、一見すると「怠惰」「怠慢」ですが、それとは表裏一体の価値として「物事を効率よく進め、全力を出さずに手を抜いて、体力をコントロールする」という意味では「善」でもあるのです。
人間の感情に着目した行動をデータとして分析していますので、心理学など興味のある方は読んでみると楽しめると思います。
ご一読ありがとうございます。