概要
タイトル:世界史の誕生
著者:岡田英弘
異なる概念から成り立っている「西洋史」と「東洋史」、地域も離れている2つの歴史はモンゴル帝国によるユーラシア大陸での活動によってつながりを持つことができた。
モンゴル帝国の活動から2つの世界がつながる世界史を解説しています。
歴史は文化であり、それを産み出した文明がおおう地域によって、通用範囲が決まるものである。
歴史を持つ二大文明である地中海=西ヨーロッパ文明と中国文明は、それぞれ前五世紀と前二世紀末に固有の歴史を産み出してから、十二世紀に至るまで、それぞれの地域でそれぞれの枠組みを持った歴史を書き続けていた。
それが十三世紀のモンゴル帝国の出現によって、中国文明はモンゴル文明に吞み込まれてしまい、そのモンゴル文明は西に広がって、地中海=西ヨーロッパ文明と直結することになった。
構成
まえがき
第1章 一二〇六年の天命
第2章 対決の歴史
第3章 皇帝の歴史
第4章 世界史を創る草原の民
第5章 遊牧帝国の成長
第6章 モンゴル帝国は世界を創る
参考文献の解説
あとがき
ポイント
世界史の始まりの機転をモンゴル帝国を中心に捉える視点が新鮮です。
中国文明の歴史観 :皇帝が統治する「天下」を対象とした歴史観
2つの異なる歴史の成立過程の研究について述べられており、それがモンゴル帝国によってつながったところが興味深いです。
また、私たちが学校で習う歴史に対しても問題点をもっていて、「日本史」「東洋史」「世界史」を単一の世界史として扱うことができないかとう点について考えを巡らせています。
感想
中国文明、地中海文明それぞれの成立と歴史の成立についてよく分かり、そこに発生したモンゴル帝国の活動によって関わり合いを持つさまが面白いです。
東洋史・西洋史両方からの視点で見る、新しい世界史の見方を発見できると思います。
歴史好きな方にはお勧めの1冊なので興味ある方は是非読んでみてください。