概要
タイトル:「もう銀行はいらない」
著者:上念 司(経済評論家)
経済評論家の上念司さんが銀行の歴史や問題点について述べています。
銀行の融資先などもデータが示されて分かりやすい内容になっています。
また、金融、財政政策によって銀行にどんな影響があったのか述べられています。
タイトル通りですが、銀行には批判的な内容になっています。
銀行の社会的な役割は、「預金」「貸付」「清算」と言われます。しかし、これはあくまでも銀行業務の役割でしかありません。銀行がマクロ経済全体の中で果たすべき本当の役割は、もっと大きなものです。その役割とは「信用創造機能」です。
信用とは「クレジット」のこと。クレジットカードのクレジットと同じで、それを「お金」と読み替えても構いません。わかりやすく言うと、銀行の役割とは「お金創造機能」ということです。
(中略)
お金を貯め込んでせき止めているのであれば、その存在は日本経済にとって害悪でしかないのです。
ところが銀行は、担保や個人補償を差し出せる人にしか融資をしない。だからまるで質屋のようだと言っているのです。
(第1章 非効率極まりない銀行業務 p36-39)
構成
序章 質屋と同じ銀行なんていらない
第1章 非効率極まりない銀行業務
第2章 銀行の消える日がやってくる
第4章 銀行経営はがんじがらめ
第5章 銀行と裏社会
第6章 何も変わらない銀行の体質
第7章 「銀行大崩壊時代」の結末
第8章 日本銀行が変わる究極のプラン
読むきっかけ
「もう銀行はいらない」のインパクトの強いタイトルに目を引かれて手に取りました。
普段からよく使う銀行についてどんな問題があるのかと思い手に取りました。
感想
印象に残った点は、概要でも引用しましたが、信用創造の話です。
以前から言葉としては知っていましたが、表などもあり分かりやすく説明されていて勉強になります。
銀行がお金を融資として循環させることの大切さがよく分かります。
(本書ではそれができていないというのが指摘の主題の一つとなっています)
戦後の金融関係の歴史とともに、銀行でどのような出来事があったのか(護送船団方式、ゆとりローン、かぼちゃの馬車等)解説されています。
第6,7章には銀行の未来予測と著者による問題の解決策が示してあります。
現実に起こるかどうかは分かりませんが、世の中の変化の方向として興味深かったです。
銀行について批判的な本ではありますが、銀行についてデータも交えながら分かりやすく書いてある読み応えのある一冊です。
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