概要
タイトル:自分を捨てる仕事術
著者 :石井朋彦
アニメーションプロデューサーの石井朋彦さんが、スタジオジブリにいた時に鈴木敏夫さんから伝授された「自分を捨てて他人の真似をする」仕事術について述べています。
自分探しや個性が重要視される中で、自分を捨てることの重要性を体験を持って伝えています。
この本で伝えたいことは、ひとつです。
自分なんてどこにもいない。
自分の中には何もない。
何かあるとしたら、それは外、つまり他人の中である。
このことを自覚することで、生きること、仕事をすることは、まるで魔法がかかったかのように楽しくなります。
鈴木さんは「自分を捨てる仕事術」を、具体的、実践的に教えてくれました。その方法を紹介したいと思います。
(はじめに p10-11)
構成
はじめに
第1章 自分を捨てて他者を真似る
第2章 鈴木敏夫が教えたエゴを手放す仕事のメソッド
第3章 自分を捨てると人が見える
おわりに
ポイント
求めらたとおり、やってみる
オリジナリティーや自分に固執する作り手は面白いものを作らない。
外からのアイデアを取り込んで一見自分がないように見える作り手のほうが、ずっといい作品を作っていると述べています。
我を通すことよりも、他人から求められることの方が仕事をする上では重要なことを伝えています。
「下手の考え休むに似たり」で、つい自分のやり方や考えに拘ってしまったときは思い返して素直になりたいです。
著者は、毎日自分を捨てるよういい聞かせています。
その中でも特に下記は、印象に残りました。
「自分の意見を主張するよりも、相手の話を聞こう。相手の話のなかから、何が大切かを見出すことに集中しよう」
相手の話を聞いているつもりでも、自分の意見を言うことに意識がいってしまい本当は聞けていないことにならないように注意したいです。
怒りをためて、使うべきときに使う
怒りの向き合い方についての学びも紹介されています。
日々、怒りが湧き上がることもあるかと思います。
そんな時は、怒りのレベルを一年間で起こる出来事の10段階で考えると、意外と低いことに気づきます。
本当に怒らないといけない瞬間はせいぜい2回程度です。
怒りのレベルが低かったら、感情的にならず、顔に出さず、落ち着いて対応しましょう。
そして、1年のうち本当に怒らなければならない「必要な怒り」になったら、満を持して怒りましょう。
気をつけないといけないことは、「怒ることによって物事が進むようにすること」です。
コントロールした怒りを上手に使うことを勧めています。
感情のコントロールは難しいです。特に怒りは抑えられなかったりと厄介なものです。
厄介な感情とうまく付き合って、有効利用するところまで考えた一歩先の手段として参考になります。
「お金を出してもらう」話し方
作品を作る際に必要なスポンサー。
スポンサーへ作品を説明するときに2つの点を伝えています。
・大義名分
・相手の仕事や事業との関わり
世の中での意味合い(大義名分)と相手方の仕事や事業とが重なり合った時、相手にとっても自分ごととなります。
そして、作品を共に作るパートナーとして作品作りを進めていくことができます。
本書では、作品のスポンサーと言う大きな関わりですが、普段の仕事や人間関係でも参考になります。
何かをしたい時、自分の独りよがりな主張だけで物事は動きません。
人を巻き込む際は、大義名分や相手のメリットも考えて伝えられれば主張も通りやすくなるはずです。
感想
著者の石井さんが、スタジオジブリで身につけた仕事のやり方が伝えられています。
何かを学ぶ際「守・破・離」が大切とされていますが「守」の部分について参考になる本です。
一旦、自分の下手なこだわりを捨てて先人の型や考え方を取り入れる重要性を認識でします。
普段の自分が意固地になっている点などの反省にもなりました。
もっと素直に他人のやり方を取り入れていきたいです。
仕事の仕方で悩んでいる方、スタジオジブリに興味のある方にとっておすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。