概要
タイトル:ボールのひみつ
執筆 :大久保旦
サッカーボールからけん玉まで、さまざまなボールの歴史や構造について解説されています。
普段は見ない断面や解体されたボールからは、その競技に合わせた技術の粋が見て取れて大変興味深いです。
スポーツが時代と共に進化していくように、そこで使用されているボールもまた、進化を続けている。
(中略)
“もし、公式球が天然皮革のままだったら?”
そんな疑問を抱いていてしまうほど、ボールは進化をしているのだ。これはサッカーボールに限ったことではなく、反発を抑制するために表皮が毛で覆われたテニスボールも、表面が100分の1mmで薄く伸ばされていくピンポン球も、打球がさらに飛ぶようにと開発された小円三角形型軟式野球ボールも、すべてはその球技がよりエキサイティングに楽しめるために施された創意工夫なのである。
そして、それこそが“ボールのひみつ”なのだ。
(はじめに p4−5 )
構成
はじめに
Part1 ボールの変遷
Part2 屋外競技編
Part3 屋内競技編
ポイント
映像を意識した配色と進化する構造
バレーボールは、その昔は白一色でしたが、現在は黄色と青の鮮やかなデザインになっています。
白→青・黄・白→青・黄といった変遷を辿っていき、パネルの形状も変わっています。
視聴者にもボールの回転がわかりやすくなって、見る側の楽しみも増していっています。
バレーボールは、製造工程も紹介されていて、合成ゴムの引き伸ばしからパネルの貼り付けまで見ることができます。
パネルの貼り付けは今も手作業です。繊細な作業で綺麗なボールが仕上げられているのは、職人技という感じがします。
同じく、サッカーボールも現在は、革製からパネルの貼り合わせになっています。
この構造によって、真球により近くなりボールのコントロール性能が上がります。
そして、雨天時に表面の革や縫い目から水分が入り込むことを防ぐことができるようになりました。
ボールの性能アップは、選手の素晴らしいプレーにも恩恵を与えています。
水球
水中で行われる唯一の球技である水球ですが、ボールもそれに合わせて特徴的です。
空気圧は0.92〜0.99kgf/cm2とあらゆるスポーツの中でもっとも高く、水面でのボールのホップを可能としています。
当たったらすごく痛そうです。
他にも、水分が入らないように天然ゴム1枚で覆われていたり、水で滑らないよう縦筋を入れてグリップ力を上げたりだと、競技ならではの水に対する対応はバッチリです。
けん玉
球技ということで、けん玉まで枠を広げて紹介されています。
現在、私たちがよく目にするけん玉は大正時代に広まりました。
今では、いろいろな形のけん玉も作られていて、おでんケン玉、ヨーヨーけん玉などユニークなものから、海外のビヤだる型、帽子型など紹介されていて写真を見るだけで興味深いです。
感想
それぞれの球技で、どんな特徴のあるボールを使っているか、どう進歩してきたのかがわかります。
大きめのボールの競技は、結構色が鮮やかになってきています。
また、公式ボールの生産国がタイになっているのも興味深かったです。
本、記事で取り上げた以外にも軟式野球やラグビーなどたくさんの球技のボールの話が載っているので読み応えがありました。
スポーツをしている方、これから始めたい競技がある方などにもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。