概要
タイトル:人を動かす
著者 :D・カーネギー
D・カーネギーの「友をつくり人を動かす法」を和訳したものです。
人との付き合い方、良好な関係をもって物事をすすめる方法について、実例をもって解説してくれています。
受け取る相手のことを最大限考える大切さをを教えてくれます。
原著者デール・カーネギーは、アメリカにおける成人教育、人間関係研究の先覚者で、デール・カーネギー研究所の所長として、話術ならびに人間関係の新分野を開拓した。
(中略)
カーネギーは、最初、このような指導をおこなうにあたって、適当なテキスト・ブックの必要を感じ、手をつくしてそれを探し出そうとした。ところが、おどろいたことには、人間関係について実際に役立つ書物は一冊も出版されていない。やむおえず、彼は、自分でそれを書く決心をした。そのために、彼は、新聞、雑誌、裁判記録をはじめ、心理学書、そのほか人間関係の問題に関連のある書物をかたっぱしからしらべあげ、助手をつかって、一年半にわたる資料あつめをおこなった。また、マルコニー、フランクリン・D・ルーズヴェルト、クラーク・ゲーブルなど、各界の名士を大勢たずねて、直接にその談話をあつめることもやった。
この調査の結果、カーネギーは、人を動かす原則をうちたて、それを印刷した小さなカードをつくって講習会の教材とした。ところが、講習会の回をかさねるごとに、このカードが増補されて、薄いパンフレットになり、そのパンフレットの頁数がしだいにふえて、十五年後には、ついに一冊の本になった。それが『人を動かす』という書物である。
(はじめに まじめに働いている人ほど、遊んだほうがいい p4-5)
構成
改定にあたって
PART1 人を動かす三原則
PART2 人に好かれる六原則
PART3 人を説得する十二原則
PART4 人を変える九原則
付 幸福な家庭をつくる七原則
あとがき
ポイント
批判も非難もしない。苦情も言わない。
人間はたとえ自分がどんなにまちがっていても決して自分が悪いとは思いたがらない。
そういった性質を持った人間を批難して、自尊心を傷つけられた相手は反抗心をもってしまい、非常に危険である。
目の前では言うことを聞いても、目を離すとすぐに規則を破ったり、自分の立場の正当化へと気が向いてしまう。
相手を批難したくなったら一旦落ち着いて、相手がそんな行動に至ったかに想いをよせてみると良い関係性が築けるのではないかと思います。
ただ、本書に載っている昔の偉人も、人への批判を抑えられない逸話も多く残っているので、分かっているけど難しいことです。
本書をこまめに思い出して、抑えられるようになりたいですね。
およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねがならない。
(PART1 人を動かす三原則 p27)
顔をつぶさない
人前で𠮟責したり、感情を踏みにじったりすることは、相手との関係性を一瞬にして壊してしまいます。
例え相手にとって、不愉快な出来事の場合でも、思いやりを持って対応するだけで無駄に敵を増やさず、協力関係を持ってことにあたることができるようになります。
自分の自尊心を満たすことよりも、相手の自尊心を考えて行動を心がけたいです。
相手の自己評価を傷つけ、自己嫌悪におちいらせるようなことをいったり、したりする権利はわたしにはいない。たいせつなことは、相手をわたしがどう評価するかではなくて、相手が自分自身をどう評価するかである。相手の人間としての尊厳を傷つけることは犯罪なのだ。
(PART4 人を変える九原則 p294)
喜んで協力してもらう。
人に協力してもらいたいとき(変わってもらいたいとき)、次のことを考えることを勧めています。
一、誠実であれ。守れない約束はするな。自分の利益は忘れ、相手の利益だけ考えよ。
ニ、相手に期待する能力は何か。明確に把握せよ。
三、相手の身になれ。相手の真の望みは何か?
四、あなたに協力すれば相手にどんな利益があるか?
これで、必ず人が変わるほど単純ではありませんが、考えない場合より相手が変わってくれる可能性は僅かばかりであるが高くなります。
変わってもらいたい、こうしてもらいたいという気持ちが強くて、相手が見えなくなってしまう前にワンクッション入れて考えてみると円滑な協力関係ができると思います。
感想
人と良い関係性を持つためには、相手のことを考えること。
単純で誰しも分かって入ることですが、大切なことが根気強く語られています。
ついつい自分の自尊心のためにかたくなになったり、相手をやり込めてしまうことに気持ちがいってしまう怖さも教えてくれます。
歴史上の偉人もなかなか我慢できないので、普通の人ならなおさらです。
人から面といわれるときついですが、書籍になって読むことで頭の中の理解でも気持ちの面でも受け入れやすいです。
人と良好な協力関係を築きたい方、組織をまとめるような方にはおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。