概要
タイトル:黒霧島物語
著者:馬場燃
全国区の焼酎である「黒霧島」と黒霧島を作った「霧島酒造」の社史が語られています。
黒霧島は飲んだことがあっても、どこの蔵元が製造しているか知らない人も多いだろう。1916年(大正5年)から宮崎県都城市で芋焼酎の製造を始め、2016年に創業100周年を迎える霧島酒造が生産している。黒霧島は1998年に宮崎県で限定販売して以降、急速に販売量を増やし、現在は全国に浸透した。
(中略)
ただ、霧島酒造は創業から80年は鳴かず飛ばずの時期を過ごし、大いに苦しんだ。1990年代後半にはライバルの酒造メーカーの攻勢を受け、危機的状況に陥った。
しかし、他社をモノマネしても未来の視界は開けない。どこの地方にも、その地域にしかない産品が眠っている。霧島酒造は天孫降臨の地とされる場所で、地場の自然に培われた芋と水という武器を最大限に活用し、都会でも通用する商品を造り上げた。
(序章 p11~20)
構成
序章 デフレ時、驚異の売上高7倍達成
第1章 都城、そして江夏家の歴史
第2章 2代目の徹底的なこだわり
第3章 のしかかる「六重苦」
第4章 「黒霧島」の誕生
第5章 決戦、福岡
第6章 芋不足という大試練
第7章 大型投資の決断
第8章 東京進出と、悲願の焼酎業界トップの座
第9章 若者たちが担う「黒霧島」
第10章 1000億円企業への道筋
読むきっかけ
今はどこにでもある「黒霧島」ですが、その誕生と全国区になるまでの過程を物語として書いてあるので面白そうなので手に取りました。
感想
霧島酒造の社史も良く知れて、今の「黒霧島」が出来上がってくるまでの道のりの苦労が「製造面」「販売面」ともに語られているので感慨深いです。
「黒霧島」をブレンドによって従来の「霧島」と比較して芋臭さを抑え、甘みを増して後味をスッキリさせるなど工夫が重ねられています。
固定概念を覆す「黒霧島」が誕生
3ヶ月後、従来の芋焼酎の固定概念を覆す商品が誕生した。
芋の香りは従来に比べほぼ半分に抑えた。その代わりに甘みが増し、後味の飲み口もすっきりした。芋焼酎メーカーとしては自己否定につながりかねない「芋臭くない」商品である。
拓三は、芋焼酎だから芋臭くなければいけないという発想を切り捨てた。新商品は「黒霧島」と名づけた。
(第4章「黒霧島」の誕生 p84~86)
福岡、東京への進出に関しては無料サンプルの配布や飲食店への営業訪問など涙ぐましい努力が語られています。
今では「トロッとキリッと黒霧島」でどこでも見れる焼酎のことがもっと良く知れて興味深いです。
霧島のシリーズはいろいろあって「デリシャス・ペンタゴン」など面白いキャッチコピーもたくさんあるので調べてみるだけでも楽しいです。
焼酎をよく飲まれる方、宮崎にゆかりがある方は特に楽しんで読めるのかと思います。
ご一読ありがとうございます。