概要
タイトル:教育格差
ー 階層・地域・学歴
著者 :松岡亮二
所属する階層、住む地域、親の学歴が子供の学習や学歴に影響あるのかについての研究を紹介しています。
様々な因果関係が存在する社会の中で、特定の要因だけを原因とすることは難しいですが、調査データを元に教育の全体像を見ていくことができます。
出身家庭と地域という本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異なり、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となる。つまり、日本は
、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。本書は、戦後から現在までの動向、就学前〜高校までの各教育段階、国際比較と、教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証。その上で、すべての人が自分の可能性を活かせる社会をつくるために、採るべき現実的な対策を提案する。
(カバーそで)
構成
はじめに
第1章 終わらない教育格差
第2章 幼児教育 ー 目に見えにくい格差のはじまり
第3章 小学校 ー 不十分な格差縮小機能
第4章 中学校 ー「選抜」前夜の教育格差
第5章 高校 ー間接的に「生まれ」で隔離する制度
第6章 凡庸な教育格差社会 ー国際比較で浮かび上がる日本の特徴
第7章 わたしたちはどのような社会を生きたいのか
おわりに
注記
ポイント
指標
本書では、子どもの教育格差を測る指標として、親学歴(大卒、非大卒)、地域(三大都市、非三大都市)の分類で取ったデータを元にして比較しています。
0、1まではっきりと区分されるものではありませんが、表、グラフで表現されているのを見ると明らかな差を見てとることができます。
文化資本
個人の成長する周囲の環境もそれぞれです。
本書では、家庭の蔵書数、習い事の数、学習時間、メディアの消費時間などにも調査が及んでいます。
当たり前ですが、個人それぞれ環境は違います。
学校で同じように授業を受けていても差は出てくるのは当たり前ですね。
テレビやゲームの時間ゼロの割合が年齢が上がるにつれて親大卒層と非大卒層で広がっていくという点は特に興味深かったです。(親大卒層がゼロの割合高い)
いずれにせよ、親の介入度は親大卒層の方が高く幼児期からの教育の格差を感じました。
感想
個人それぞれ育つ環境は違います。
親や地域によって、どんな環境の違いがあるかということを浮き彫りにしてくれています。
読んでいると、そういうことだったのかといった気づきもありました。
何がいい教育かは人それぞれですが、知っておいて損はないとお思います。
子育てをされている方、教育に関わるお仕事をされている方にとってもにおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。