概要
タイトル:日本再興戦略
著者:落合陽一
メディアアーティストや筑波大学の教鞭をとったりと多彩に活躍している著者が考える日本再興の戦略が述べられています。
将来予測など面白い内容が盛りだくさんになっています。
また、仕事観も士農工商と斬新な切り口でとらえていて個人としても参考になるような内容になっています。
今の日本は、経済と教育と文化と技術が密接に結びついたエコシステムを考えることが求められています。しかしながら、それを行っている同世代が非常に少ないため、今回、僕なりの考えを提言してみます。
(中略)
我々の世代の次の一手で、日本のこの長きにわたる停滞は終わり、戦況は好転する。僕はそう確信しています。バックグラウウンドとビジョンを拡張し、世界に貢献する。日本にとって、そして世界にとって、今ここが「始まったばかり」なのです。
(はじめに p21-22)
構成
はじめに
第1章 欧米とは何か
第2章 日本とは何か
第4章 日本再興のグランドデザイン
第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)
おわりに
ポイント
士農工商
本書の中で、仕事の在り方を「士農工商」に当てはめていて、職業の行き来のしやすを残しつつもカーストがあった方が良いのではないかと提示しています。
士:政治家・官僚・学者 →クリエイティブクラス
農:百姓(100の職) →自営業者・マルチクリエーター
工:アーティスト・専門家→職人
商:金融・ホワイトカラー→ビジネスパーソン
特に、「農(百姓)」のとらえ方が興味深かったです。
100くらいの職をマネジメントしながら生きていくという考え方は斬新でした。
著者が「士農工商」というモデルを支持する理由は、生業が保証されてそこに打ち込める方がいつまでたっても自分探しをして迷い続けるよりも幸福ではないかとと考えているからです。
大多数を占める「農(百姓)」の人はいろんな仕事を生業としながら、その中で突出した人が「士・工・商」のような仕事を担っていくという考え方は面白いです。
人口減少・高齢化はチャンス
現在、日本の問題として取り上げられている人口減少・高齢化を著者は逆にチャンスととらえています。
理由としては
・人口が減るので、仕事の機械化に向けた抵抗が起こりにくい
・世界に先取りして、人口減少・高齢化に対応して輸出する
・大人の数に対して子供の数が減るので子供に教育コストをかけられるようになる
と述べています。
デメリットと思われている点を転じてチャンスに変えていくことの考え方は面白いですし、ぜひそうなる未来を見てみたいです。
感想
日本再興戦略とあるように、どうやったら日本が良くなっていくかについて著者の考えを知ることが出来ます。
ポイントであげていた他にも、日本の統治機構やデジタルの活用法についても述べていて様々な視点から考えることが出来ます。
個人に直接関係のあること、社会全体に関係のあることどちらについても考えさせれれる一冊です。
ご一読ありがとうございます。
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