概要
タイトル:夢、死ね!
若者を殺す「自己実現」という嘘
著者 :中川淳一郎
「夢」素晴らしいと思います。
しかしながら、夢に振り回されてしまうと実現できないそれこそ「夢物語」ばかり見て現実は何も変わりません。
本書では、著者の仕事での理不尽な体験、目の当たりにした現実が正直に語られています。
「現実は、甘くない」それでも人生を大きく左右する仕事について、目標を持って頑張ろうということを力強く述べています。
仕事とは何かーその答えは
「お金を得るための活動」
であり、
「社会との接点を作るための活動。」
これだ。決して「夢」や「自己実現」を先に持ってくるべきではない。夢や自己実現は一歩先の話である。
(中略)
本書では、もっと基礎となる部分の話をする。そこが分かったところで、あなたは思うだろう。「夢、死ね!」と。そして、今の自分を肯定でき、焦りが消えるかもしれない。
(はじめに p9-10)
構成
はじめに
1章 夢、死ね!
2章 あまりにトホホな仕事の現場
3章 個人を潰して事なかれ主義に走る、絶望的な仕事の現場
4章 仕事はかくも尊く、人生を左右する
ポイント
夢を諦める潔さ
著者がオーディションの選考に関わっていた際、適正がないのにも関わらず何度も諦めず応募する人を見かけたと言います。
対して、スッポーツ選手は潔く夢を諦める人が多いと述べています。
この2者の違いについてこのような2点あげています。
1.体力と関係性が深いため現役の時期が限られている
2.間近に圧倒的な実力者がいることが多い
夢を諦めることの良し悪しを述べることは難しいかと思います。
だた、ここで思ったのは、判断するモノサシはの有無が大きく関わっているのかと感じました。
著者の述べている2点からは、「時間」「他人との比較」が判断材料として重要そうですね。
人間、周りが見えなくなって盲信してしまうことは多々あります。
夢や願望、いいものです。
ただ、実現できるものか少し振り返ってみてみる、他のもっと大切なリソースを奪っていないか考えてみるのもいいかもしれません。
仕事の本質
著者が発見した、仕事の本質それは・・・
1.生活のため
2.人から怒られないようにする
特に、2については強調して述べられています。
きれいごとは色々ありますが、そうでしょうと実体験を交えて述べています。
ただ、怒られるのを恐れるあまり、そもそもの生活基盤を失ってしまうような例も話しており、興味深かったです。
確かに、人間関係絡む仕事だと、相手に配慮しながら進めていくことが基本ですし的を得ているかもしれないと感じました。
それにしても、著者のいた出版や広告業界の無茶なエピソードは面白いです。
感想
「夢、死ね!」という刺激的なタイトルでしたが、私の感じたメッセージとしては、「仕事大変!でも頑張れ!」といったように聞こえました。
綺麗ごとではない体験話はとても面白く読むことができます。
そんな躓かず上手くやっていけないよ、と思っている方は共感できるかと思います。
仕事にストレスを感じている方、「夢」って言葉に引っかかりのある方におすすめな一冊だと思います。
ご一読ありがとうございます。