概要
タイトル:諦めの価値
著者 :森博嗣
大学教授と小説・エッセイなどの作品を書き上げてきた著者が、あきらめるということについての考えを述べています。
「あきらめる」という状態について分析して、あきらめる対象が「目的」なのか「方法」なのかなど、あきらめる事に対する向き合い方の参考になります。
一番大事な点は、あなたが諦めても、諦めなくても世界は変わらないということだ。この場合の「世界」には、あなたの才能や環境、そして確率などが含まれている。つまり、人生の条件は何一つ変わらない。
気持ちの問題で同行できるものではない。そういった精神論を、まず捨て去って、事実を正確に観察し、自分にとって何が有益で、何が無駄か、と考えること。この客観的評価だけが、あなたを正しい「諦め」へ導き、あなたにとって最大限の成功をもたらすだろう。
再度、念のために書くが、この場合の「成功」とは、周囲からの評価ではない。あなた自身の満足である。
(まえがき p)
構成
まえがき
第1章 諦めなければ夢は叶うか?
第2章 諦められないという悩み
第3章 何を諦めるべきか?
第4章 諦めが勝ちを持つとき
第5章 諦めの作法
第6章 生きるとは諦めること
第7章 変化を選択する道について
第8章 他者に期待しない生き方
あとがき
ポイント
2つの諦め
諦める対象として、大きく2つあることを述べています。
・「目的(夢そのもの)」を諦める
・「方法」を諦める
目的(夢)そのものを諦めることは、実現不可能と判断せざる得ない大きな方向転換です。
目的を具体的なものに囚われてしまうと、その裏に隠れてしまっている本当に自分の満足できる目的を見失ってしまうこともあります。
目的ではなく、具体的なそれは方法なのかもしれません。
そこで、目的を抽象的に考えることで、自分の満足する本来の目的が見えて、多くの道が開けてくると述べています。
方法を諦めることは、方法の切り替え、ミスのリカバリーなど普段から直面しています。
大切なのは、「計画」と「判断」です。
目的を達成するまでの道のりを計画して、方法がダメだった際は諦める。
諦めることは、それまでにやってきたことが無駄になってしまいますが、素早く判断を下すことが目的に近づくために有利になります。
「夢」の分析
夢が実現できないと判断した時、別の道を探す方法についてアドバイスしています。
自分の夢に対して分析してみることをお薦めしています。
具体的なものから抽象度のイメージに分解してみると、別のアプローチから、新しい夢が見つけられるかもしれません。
大きすぎる夢だと挫折することあるかもしれませんが、そこから小さな夢に分解しなおして実現させていけると、人生の満足度も上がっていくと思います。
ただ、諦めてしまうよりもずっといい方法です。
感想
諦めるということについて考えさせられる本です。
目的の抽象度をあげるという考え方は、実現させる方法を幅広くさせることにもなるので、参考になりました。
自分の目的は何なのか、周囲に左右されず見失わないようにしたいです。
方法の諦めは、いくら諦めても目的へ進むためには必要と割り切って素早く判断することが大切です。
諦める際の心の折り合いについて悩んでいる方、著者の考え方を知りたい方にとってもおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。