概要
タイトル:ルールの世界史
著者 :伊藤毅
ルールと人類の関わり方について焦点を当てた世界史について語られています。
ルールが世の中に与えた影響、上手に活用された事例などが歴史的とともに学べて興味深いです。
この本は、今のルールを変えたいと思った人や、ルールを変えないといけない人たちのために書きました。
(中略)
第1章では、古い時代のわたしたちとルールの関係を説明します。わたしたちとルールの関係はいつ始まったのか、どのような場面でルールを作っていったのかなど、基本的な関係について考えます。
第2章から第5章では、ルールを破壊し、新ルールを作り出していった人たちの歴史を見ていきます。これらの章の中では、ルールが破壊された結果、思いがけず良いルールが出来上がった事例や、目指した目的とは全然違う形でルールが形成される事例がたくさん紹介されます。
(中略)
第6章に入るとインターネットが現れ、わたしたちとルールの関係は大きく変わっていきます。インターネットがルールとどういう関係を持ち、ルールの構造をいかに劇的に変えていったのかを分析していきます。
そして、最後の章では、ルールの一生を外観していきます。各章を振り返りながら、ルールは不変なものではなく、生き物のように生まれ、成長し、死んでいくことを再確認します。わたしたちは、生き物としてのルールを自分たちで作り出し、メンテナンスし、変えていくことができるのです。
この本を読み終える頃には、ルールを変えることなんて考えたこともない人も、ルールをぶっ壊してみたくなっているかもしれません。
(プロローグ p005−007)
構成
プロローグ
Chapter1 ルールは「遊び」から始まった
Chapter2 期待と安心感
お金と「信用のルール」
Chapter3 拡散とコントロール
知財の創造ルールで産業を振興する
Chapter4 巻き込みと役割分担
イノベーションを巡るルール対決
Chapter5 アシストと放任
企業を成長させるルール
Chapter6 インターネットがルールメイキングを変えた
Chapter7 ルールの一生
エピローグ
参考文献
ポイント
巻き込みと役割分担
イノベーションに対してのルールによる対応でその後の発展が変わってくる様子が解説されています。
イギリスの自動車が登場してきた際の「赤旗法」などのルールが紹介されていました。
・赤旗法「自動車を運行する際には赤い旗を掲げた人に約60メートル前を歩かせなければならない」
といった何ために自動車に乗るのか分からなくなるような規制が課されました。
イギリスは発展を阻害するようなルールづくりがされたのですが、その原因としてビジネスモデルの選択をあげています。
イギリスは、自動車をバス事業として始めました。そのことで既存の馬車事業者と衝突してしまいます。競合の事業との正面衝突を避けるようなビジネスモデルの選択の重要性を指摘しています。
新しいものを普及させるためのコツとして、多くの人を巻きこみ、それぞれに役割分担をしてもらうことをあげています。
巻きこみ、役割分担の上手なルールの作り手として、消費者側ではフランスのド・ディオン伯爵、製造サイドではアメリカのオールズやフォードを紹介しています。
カーレースなどのルール作りによって消費者への普及、標準化によって可能となる大量生産のは話は聞いていて興味深かったです。
良いルールでも普及して使われなければ効果がないので、特に重要な点にも感じました。
みんなが受け入れやすいルール
みんなが受け入れやすいルールとして次のことをあげています。
<みんなが受け入れやすいルール>
①特別な領域でのルールづくり
他の人々に邪魔にならない領域で運用する。
公平性の確保がポイント。
②人々に違和感を持たせない進め方
意識せずに目的達成できるようなインセンティブを与える
遊びやゲームの要素をうまく取り入れる
③ルールのバッティングが起こらないような環境整備
他の事業と競合しないよう環境を整備しておく
お金、労力が必要な場合が多い
新しいルールや規制ができた時にこの3点を確認してみて、その後の受け入れ方、流行り廃りまで予想できたら面白いかもしれません。
自分がルール作りをする側になった時も心がけていると、上手に新しいルールを考えられそうです。
感想
ルールに関わる歴史的出来事の事例が紹介されています。
ルール運用が上手くいって産業が発展したり、逆に潰されてしまったりとルールの作り方や導入される環境による効果を知ることができます。
大きく4つの「信用ルール」「創造ルール」「普及ルール」「育成ルール」の項目に分けて歴史的出来事と大切なコツの語りが話を魅力的にしています。
ルールの歴史から、身近にもたくさんある現在のルールに対して学べることも多いとも感じました。
歴史好きな方、ルールの成り立ちなどに興味のある方にはおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。