概要
タイトル:モチベーション革命
著者 :尾原和啓
本書では、30代以下の生まれた頃から何もかもそろっていた世代を「乾けない世代」として世代間のモチベーションのギャップについて述べています。
時代の変化に対応して、良いチームを作っていくにはモチベーションのギャップを理解することが重要になります。
本書を通して、「乾けない世代」のみなさんが、自分のモチベーションを客観的に理解し、人生を迷いなく生きられるようになればこれほど嬉しいことはありません。
しかし、世の中を良い方向に変えていくには「乾けない世代」だけでは、足りないのも事実です。
彼ら、彼女らを生かすも殺すも、その上の世代が、「宇宙人」のように見える彼ら、彼女らといかに共存・コラボレーションしていくかにかかっています。
なぜ残業しない?なぜ会社をすぐ辞める?など、理解不能に見える日常の行動にもしっかりとした、彼ら、彼女らの言い分がある。上の世代の読書には「乾けない世代」の取扱説明書として読んでいただけたらと思います。
(中略)
「乾けない世代」が持つ変化した「モチベーションの正体」を正しく理解し、扱うことこそが、この世の中を動かす、最大の武器になっていくと僕は確信しています。
(はじめに p8-9)
構成
はじめに モチベーション革命
第1章 「乾けない世代」とは何か?
第2章 偏愛こそが人間の価値になる
第3章 異なる「強み」を掛け算する最強チームの作り方
第4章 個人の働き方
おわりに
ポイント
5種類の幸せ
人間の幸せは5種類に分けられます。
「達成」「快楽」「良好な人間関係」「意味合い」「没頭」の5つが幸せの軸となっていますが、重要度は人によってそれぞれ異なります。
上の世代では、「達成・快楽」が強かったのが、乾けない世代では良好な「人間関係・意味合い」を重視する人が多いと述べています。
この幸せのバランスが、モチベーションに大きく関わっています。
幸せの比重の重いところに関わると、モチベーションが上がったり、下がったりします。
自分はどこで幸せを感じるのかを考えると、精神的に落ち着いたり、人生の大きな判断を決めるときに幸せな方に方向を向けられそうです。
相手の幸せの比重を考えると、話し方やサポートで相手のモチベーションをあげていける助けになると思います。
チーム作りの原体験
著者のチーム作りの原体験として、阪神淡路大震災のボランティアでした。
やる気は皆あっても、やりたい作業はそれぞれ違います。
一致しないと納得できないまま作業を続けてしまいモチベーションが下がってしまいます。
モチベーションを下げないために一人一人の会話したり、やりたいことと作業が一致するようすり合わせをすることが重要でした。
①全員がやりたいこと
②世の中のためにやるべきこと
③個人のやりたいこと
の3つを把握して、揃えることがチームにとって大切だと述べています。
WHYを共有と心理的安全性
チームを作る際に、個人それぞれのやりたいことをすべて満たすことは至難の業です。
方向性の合ったチームを作るためには、ぜここにいるのか・何をやりたいのかいう「WHY」の問いかけが重要になります。
リーダーは自分の「WHY」を提示してメンバーの「WHY」と出来るだけつなげていき方向性を合わせていきます。
方向性の合っているチームはそれぞれの強みを活かして変化にも瞬発的に対応できると述べています。
また、「WHY」を共有した組織が効果的に機能するには、チャレンジや失敗を受け止める「心理的安定性」が欠かせません。
昨今言われているジョブ型の働き方のチーム作りのあり方かと思います。
幸せの価値観の違う、多様なメンバーが上手くかみ合うようにすることには難しいですし、そもそも組織に対して影響を与えられる立場でなかったりしますが、「WHY」を知るコミュニケーションの大切さは心にとめておきたいです。
感想
一人ひとりの価値観が大きく違っている現代の社会で、モチベーションをどう上げていくかについて述べられています。
自分に対する問いかけ、他者に対する問いかけを通して同じ方向性へ向かって行けるのが理想です。
人の心情へ働きかけるマネジメントが求められるだけに、難しさもありますが、今の自由や多様性を活かしていく活動をしていくには必須になっていくのかと感じました。
メンバーとして関わるとしても自分が何をしたいか、何のためにいるかは常々考えることが大切だと感じさせてくれます。
世代間だけでなく、どんな相手との関係にも通じる相互理解の本でもあると感じました。
モチベーションに関心のある方、働き方や価値観に関心のある方におすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。