概要
タイトル :サクッとわかる ビジネス教養 地政学
著者 :奥山真司
地政学・戦略学者の著者が地政学について、地図とイラストで分かりやすく解説しています。
ランドパワー、シーパワーなどの用語から歴史的な傾向やねらいなどを一歩引いた広い視点から知ることができます。
地政学とは何なのでしょう。研究者によってさまざまな答えがあると思いますが、私は「国際政治を冷酷に見る視点やアプローチ」と考えています。多くの日本人が思うよりも、国際政治での国家のふるまいは冷酷で残虐です。
(中略)
国際政治を「劇」とすれば、地政学は「舞台装置」です。「劇」の表裏で、そのシステム全体の構造を決めているのは「舞台装置」ですから、国際政治の表面的な部分だけでなく、その裏側にある各国の思惑を理解するには、地政学の考え方を身につける必要があるのです。
本書を通じ、今後ますます混乱する世界情勢を理解する視点をみにつけていただければと思います。
(はじめに p2-3)
構成
はじめに
CHAPTER1 基本的な6つの概念
CHAPTER2 日本の地政学
CHAPTER4 アジア・中東・ヨーロッパの地政学
おわりに
ポイント
地政学 6つの概念
地政学の基本的な6つの概念が紹介されています。
①コントロール
地政学最大の狙いといえる点です。
自国を優位に起き、相手国へ影響を与える。
地理的な側面から相手国の狙いを見抜くことができます。
勢力均衡によって、秩序を保つ。
③チョークポイントとルート
海路(ルート)の要所を抑えることで、低コストで大きな影響力を与える。
④拠点
あるエリアにおいて影響を及ぼす場合の足掛かりとなる地点を確保する。
⑤ランドパワーとシーパワー
ユーラシア大陸の大陸国家と国境の多くを海に囲まれた海洋国家。
大きな国際紛争は、ランドパワーとシーパワーのせめぎ合いから起きる。
歴史的には、ランドパワーとシーパワーの両立はできない。
⑥ハートランドとリムランド
ユーラシア大陸の中心部(ハートランド)とその周辺エリア(リムランド)。
ハートランドからリムランドの進出からの衝突が起こりやすい。
地図と図解を見るだけでも理解が簡単に進みます。
具体的な国は変わったりしますが、ランドパワーとシーパワーの入れ替わりなど、いわゆる歴史は繰り返すとったところも見て取れるのは興味深いです。
コストインポージング
コストインポージングとは、相手国が構造的にコストをかけざるを得ない部分のコストを増大させて疲弊させる戦略です。
地政学的には、相手国が長い国境線を持っている場合、国境線の防衛に注力させることで防衛コストの増加から財政面への打撃を与えていくといったやり方があります。
こちらは、ビジネス的なところへもつながる感じがします。
権利の取り合いだったり、製品ラインナップだったりと相手の弱い所を展開して強い所に注力できなくするといったところですね。
感想
地政学について、分かりやすく知ることができます。
世界情勢もさることながら、その中での日本の立ち位置についても理解を助けてくれます。
地図ももちろんですが、イラストもコミカルで地図上の位置関係と上手くマッチさせているので頭に残りやすいです。
国際情勢のニュースを見ていて、何だか理解しずらいな、何が狙いなのかなと疑問に思っている方におすすめな一冊だと思います。
ご一読ありがとうございます。