概要
タイトル:移民の世界史
著者 :ロビン・コーエン
訳者 :小巻靖子
人類の出アフリカから始まる移動の歴史について44のテーマに分けて述べています。
古代~中世の探索から始まる人の移動、宗教戦争や新大陸への進出による人の移動。
近・現代の労働者の移動、第二次世界大戦、冷戦など戦争による難民の移動。
その他にも、気候変動による移動、留学、リタイアメントによる移動など、様々な視点から人の移動の歴史について述べています。
人の移動はどこで始まり、いつ地球のほぼすべてに人が広がったのか。なぜ移動する人と、同じ土地にとどまる人がいるのか。人の移動にはどのようなものがあるのか。人の移動の流れは止められるのか。現生人類の誕生から今日に至るまでの人の移動の歴史を世界のさまざまな地域に目を向けながらたどり、はっきりとした例を示してこうした疑問を解き明かしていこう。そうすることで、人の移動を大きく描きだすことができるだろう。そうすることで、人の移動を大きく描きだすことができるだろう。
(はじめに p7)
構成
第1部 人の移動の始まり
第2部 近・現代の人の移動
第3部 現代の人の移動
第4部 論争と進展
ポイント
出アフリカ
約20万年前アフリカにいた人類は、6万年ほど前にアフリカ大陸から世界各地へ広がっていき、およそ1万年前に南米の南端にたどり着きました。
アフリカから出るのに14万年かかっていたのに、5万年ほどで南アメリカ南端へたどり着いています。
アフリカにとどまっている期間に比べると、移動スピードが思ったより早い(万年単位ですが)です。
必ずしもまっすぐ移動できたわけではなく、移動の中で定住するものが出てきたりと移動の中で人類は世界中の各地へ広がっていきました。
今のように便利な乗り物もない時代に良くこんなに移動できのには驚きです。
リタイアメント移住とライフスタイル移住
66歳以上の人口は大幅に増加し、退職後に過ごす年月は伸びています。
アメリカでは、退職者の移住先としては、暖かく、比較的生活費が安く、州の優遇措置もある南部の州が人気が高いです。
イギリス、フランスでも、ドーバー海峡海辺の町への退職者の移住が進んでいます。
ただ、最近の動向として、ヨーロッパの特定の国々へのリタイアメント移住は減少しています。
原因としては、イギリスのEU離脱、平均寿命の延び止まり、年金制度の維持が難しくなることによる現役期間の延長などがあげられています。
日本の話ではないですが、引退後暖かいところで過ごしたいと思うのはどこも同じようなことを考えるのかなと思いました。
しかし、日本ではUターンなど移住の話はときどき聞きますが、都市に集中するのが一般的なのかと感じています。
しかしながら、どこも長期間働くという流れはあるのかなと、働かない人口が増えても困ってしまいますしね。
感想
移民の世界史だけあって、人類の移動について多くの視点から語られています。
移住の背景には戦争、労働、飢餓などネガティブな要因が多く、社会的な問題も同時に知ることができます。
学生時代や社会人になって知った歴史の話などとつながるところもあって、副読本としても有用です。
私は、以前読んだジャガイモの世界史とアイルランドのジャガイモ飢饉によるアメリカへの移住につながりがあり興味深かったです。
移民の歴史もですが当時の社会情勢についても語られているので、歴史好きな方や一歩踏み込んで、当時の情勢についても知りたい方にはおすすめな一冊です。
ご一読ありがとうございます。