概要
タイトル:ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由
著者:酒井穰
介護と離職について、離職した際の影響について述べられています。
介護離職に対する誤解や制度について述べており、介護と向き合った際にどう自立した関係を保っていくのかを考えさせられます。
自立という言葉は、残酷です。これほどまでに誤解され、結果として多くの不幸を生み出している言葉はないからです。
まず、自立とは、誰にも頼ることなく生きられる状態のことではありません。これが人間を不幸にする決定的な誤解です。真の自立とは、その人が依存する先が複数に分散されており、ただ1つの依存先に隷属(奴隷化)している状態から自由であることです。
(中略)
優れた介護においては、要介護者は、この人がいないと死んでしまうという状態、すなわち特定の人への過度な依存が上手に避けられています。だからこそ要介護者であっても、何かに隷属することなく、自らの幸福を自分の意志で追及する自由が残されるのです(自己決定の原則)。これこそが「介護とは自立支援である」と言われる背景です。
(はじめに p1~5)
構成
はじめに
第1章 介護離職につながる3つの誤解
第2章 介護離職を避けるための具体的な方法
第3章 介護を自分の一生を人生の一部として肯定するために
おわりに
感想
第1章では、介護離職に対する誤解について3つ述べられています。
誤解①介護離職をしてもなんとかなる
誤解②介護離職をすれば負担が減る
誤解③子供が親の介護をすることがベスト
それぞれ、介護離職を始める前の想定に対しての現実の厳しさを教えてくれます。
第2章では、介護をする際に負担を分担するためにどのような方法があるかを伝えています。
方法①介護職(介護のプロ)に人脈を作る
方法②家族会に参加する
方法③職場の支援制度と仕事環境の改善に参加する
公的制度には、制度設計のエラーがあることを理解しておくことなど心構えやネットワークを利用する重要性が分かります。
第3章では、介護ということに肯定的に向き合うことについて述べています。
指針①介護とは何かを問い続ける
指針②親と自分についての理解を深める
指針③人生に選択肢がある状態を維持する
介護という状況に対してどういった気持ちで向き合うのか、人生の選択肢を持っておくことが大切ということが述べられています。
あなたが、親の介護をしながら幸福になるためには、そのときに求められる親の介護を自分でやるのか、それとも介護のプロに任せるのかが選べる状態を維持することが重要になります。これが選べなくなったとき、あなたは不幸になるし、親もまたそれによって不幸になります。
(第3章 帰省時のチェックポイント p68~72)
本書に書いてあることが全てではないかもしれませんが、介護を考えた際に手に取って読んでみることで心構えや行動がいい方向へ向かうのではないかと感じました。
ご一読ありがとうございます。