概要
タイトル:家康、江戸を建てる
著者:門井康喜
徳川家康が江戸へ領地替えをされてから江戸の一大都市を作り上げるのに行われた「水」「金」「石」「城」について描いた時代小説です。
それぞれの物語に個性的な主人公がおり、江戸を発展させる事業への取り組みが魅力的に語られています。
「北条家の関東二百四十万石を差し上げよう」天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めつつ、関白豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。その真意は、湿地ばかりが広がる土地と、豊穣な駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。家臣団が激怒する中、なぜか家康は要求を受け入れる―ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の、日本史上最大のプロジェクトが始まった!
構成
第一話 流れを変える
第ニ話 金貨を述べる
第三話 飲み水を引く
第四話 石垣を積む
第五話 天守を起こす
感想
それぞれの物語に江戸の発展と主人公の働きが魅力的に語られています。
私が特に楽しめた物語は「第一話 流れを変える」「第二話 金貨を述べる」「第三話 飲み水を引く」です。
第一話、第三話は「水」に関わる物語です。
川の流れを変えることで湿地であった江戸の土地を都市として発展させる礎を作っています。
そして、江戸の飲み水をいかに市中へ引くかを悪戦苦闘しながら達成していく流れが面白く語られています。
川という規模の大きなものについて語られているので、最後の川の流れが合流し整流化されるさまは胸が熱くなりながら読めます。
第二話は「金」に関わる物語です。
徳川家と豊臣家の通貨戦争で、江戸の発行する通貨を流通させるために小判を作るというものです。
主人公の庄三郎が主人からいやがらせにあいながらも貨幣を通じた下克上を達成する話も非常に魅力的です。
江戸を都市として成り立たせた重要な事項についての物語を楽しめます。
いかにして街中に水を流すのか、小判をどうやって作り偽造されない仕組みにどんなものがあったのかという技術的な話もあります。
現実の出来事と魅力的な登場人物が話を面白く読ませてくれます。
今の東京の土地に繋がるところもあり、実際に行けるところもあるので東京に住んでる方は読んだ後に行ってみる楽しみ方もできそうです。
ご一読ありがとうございます。